《zak女の雄叫び お題は「味」》味を占めて次々と…SNSで女性おびき出した座間事件容疑者の手口

白石隆浩容疑者自宅アパート前=26日午前、神奈川県座間市(佐藤徳昭撮影)

 暇ができると、何気なくチェックしてしまうツイッターやインスタグラムなどのSNS(会員制交流サイト)。共通の趣味や関心を通じて、住む場所や年代の違う人と繋がることができるのも大きな魅力だ。社会的な地位やしがらみにとらわれない“本当の自分”を認めてくれる世界をそこに求める人も少なくないが、顔の見えない関係には虚飾が紛れ、それを真実と錯覚してしまうリスクが伴う。

 10月末、そんなことをあらためて認識する事件があった。

 神奈川県座間市のアパートで、9人の切断遺体が見つかった事件。殺人容疑で逮捕された白石隆浩容疑者(27)は8月、SNSを通じて知り合った20代の女性を最初に自宅に誘い込み殺害することに成功すると、味を占めたのか、次々と男女を部屋に誘い込み、わずか2カ月間に9人を手にかけた疑いが持たれている。その手口とは、一体どんなものだったのだろうか。

 白石容疑者は不特定多数が閲覧できるツイッターで、「首吊り士」などの複数のアカウントをつくり、自殺への願望や興味を打ち明ける女性らに接近。「首つりの方法教えます」などとDM(ダイレクトメッセージ)を送り、反応があった被害者と個別に連絡を取り合っていた。共通の関心事項が「自殺」かどうかはさておき、SNSではよくある関係構築の流れだろう。

 「首吊り士」のアカウントでは、イケメン男性のアニメ調の画像をアイコンに使い、優しく丁寧な口調で自殺の相談に応じていた。捜査関係者によると、白石容疑者の携帯電話の通信履歴などを解析した結果、被害者以外にも10人以上の女性とツイッターを通じて知り合い、自殺に関するやりとりをしていた形跡があったという。

 その後、「LINE(ライン)」や「カカオトーク」などの無料通信アプリに切り替え、より親密なやりとりを繰り返していたケースもあった。白石容疑者と事件直前まで1カ月ほどやりとりを続けていたが、事件発覚により被害を免れた20代の女性は「最初は『一緒に死にましょう』という話だったが、気が付いたら『俺が殺してあげる』という話になっていた」と打ち明ける。

 白石容疑者はこの女性が暗い過去を打ち明けると、「自分もいじめられていた」などと寄り添い、そのうちに「会いたい」「同棲(どうせい)しよう」などと好意があるようなそぶりをみせていたという。そして「死にたいなら、俺が殺してあげたい」「うちのロフトになわをかけたら死ねる」などと持ちかけ、自宅に来るよう誘っていたという。

 自分を全面的に肯定してくれる存在。弱っているときに優しく、受け入れてくれる存在。依存され、依存できる存在。SNSという限られた接点の中で、白石容疑者という存在は被害者らの心の隙間に入り込み、日増しに巨大化していったのではないか。それは10~20代の女性が誰でも抱くであろう恋愛や、未知の異性への憧れにも似た感情だったのかもしれない。

 殺人、遺体切断という残忍な犯行態様ばかりが注目されているが、この事件の本当に怖いところは、そういうところなのだと思う。(い)

 【zak女の雄叫び】取材や日常…。女性記者21人が月ごとのキーワードで本音を綴るリレーコラムです。11月のお題は「味」です。