【共産党研究】現実を直視できぬ「科学の目」 今も隠然たる力持つ不破前議長、選挙総括で再び同じ過ち

日本共産党創立95周年の記念講演を行う不破前議長=7月19日、東京都中野区

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 共産党のトップを退いたとはいえ、依然として「隠然たる力」を持っているのが齢87の不破哲三前議長だ。今年の党創立95周年の記念講演会でも、95年の党の歴史を語ったのは、志位和夫委員長ではなく不破氏であった。

 この不破氏が十数年強調してきたことが、「科学の目」ということだった。どういう意味かといえば、さまざまな事象を科学的に見てこそ、正しい認識が得られる-といった意味で、不破氏の造語である。

 だが、実際には「科学の目」どころか、「共産党中心視感」でしか物事を見ることができないのが共産党なのである。

 1996年の衆院選で、共産党が15議席から26議席、得票数が726万票に到達した際、不破委員長(当時)は「小選挙区制の導入は、共産党を政界から締め出そうとする企てだったが、どんな悪法もわが党と国民の結びつきの広がりを押しとどめることはできない」と述べ、当面の目標は「衆議院に100議席、参議院に数十議席」だと豪語したものである。

 小選挙区制の導入の中心人物だったのが、現在、共産党と仲の良い小沢一郎氏(現・自由党代表)である。小沢氏に聞けば良い。「共産党を閉め出すために導入したのか?」と。小沢氏は言下に否定するだろう。

 当時の小沢氏にとって、小政党に過ぎない共産党など眼中にもなかったはずだ。社会主義の敗北による冷戦終結後の新たな政治体制を確立するために、小選挙区制導入による政権交代可能な二大政党体制を目指したのである。

 その後の共産党は、不破氏の気楽な目標とは正反対に、衆院に100議席どころか、後退に次ぐ後退の道を歩むことになった。

 今回もまた同じ過ちを繰り返す選挙総括を行っている。選挙での敗北を踏まえ、共産党の綱領、歴史、理念を国民に理解してもらう努力を強める。党員と「しんぶん赤旗」の党勢拡大を進める、この2つが大事だと言うのだ。これでは、すでに失敗が約束されていると断言できる。

 党員ですらなかなか読まず、理解もしていない綱領や歴史、理念をどうやって広範な国民に理解してもらうのか。党勢拡大もそうだ。この数年だけでも、いったい何回、党勢拡大の運動を行ってきたか。だが、「賽の河原の石積み」(=無駄な努力)で最終的には減らし続けてきた。

 理由は単純だ。共産党に入党する意義も、「しんぶん赤旗」を読む必要性も感じないからである。「科学の目」というのであれば、この現実をこそ直視することである。

 ■筆坂秀世(ふでさか・ひでよ) 1948年、兵庫県生まれ。高校卒業後、三和銀行に入行。18歳で日本共産党に入党。25歳で銀行を退職し、専従活動家となる。議員秘書を経て1995年に参院議員に初当選。共産党のナンバー4の政策委員長を務める。2003年に議員辞職し、05年に離党。評論・言論活動に入る。著書に『日本共産党と中韓』(ワニブックスPLUS新書)、『野党という病い』(イースト新書)など。