【日本を守る】日本を守ってきたのは“平和憲法”ではない 刻々と迫る北の脅威で鎧となる「日米同盟」

安倍首相(右)と、トランプ大統領は首脳会談で「日米同盟の絆」を確認した=11月6日、東京・元赤坂の迎賓館

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 私はこの原稿を米ワシントンで書いている。

 ドナルド・トランプ米大統領が12日間にわたるアジア歴訪の旅から戻った日に、ワシントンに着いた。

 トランプ氏は「アジア戦略」についてズブのアマチュアだったから、安倍晋三首相が描いた台本(シナリオ)に沿って踊らなければならなかった。トランプ氏が安倍一座の役者となった、といってよかった。

 両首脳は、赤坂迎賓館の池で、並んで緋鯉(ひごい)に餌をやった。安倍首相が予定を急いで、餌が残った袋を逆さにして池にあけたところ、トランプ氏も慌ててまねて、袋を逆さにして子供のように従った。

 安倍首相は、トランプ氏が大統領に当選した直後に、ニューヨークのトランプタワーに駆けつけ、2人の間に“個人的な友情”を結んで以来、国際政治の先輩・後輩のような絆をつくってきた。

 安倍首相は、トランプ氏を東京でかつてなかったほど厚遇した。韓国も中国も、日本に負けていられなかったから、慌てて日本に倣わねばならなかった。米国の大統領がかつてアジア各国で、これほど厚い赤絨毯の上を歩いたことはなかっただろう。

 もっとも、日本としては、北朝鮮の脅威が刻々と迫るなか、米国にすがりつくほかなかったから、トランプ氏を最大限に歓待せざるを得なかった。日本は“平和憲法”の専守防衛によって縛られて、北朝鮮と戦う能力をからっきし欠いているから、米国に頼るほか生き延びる方法がない。

 日本が独立を回復してから、今日まで日本を約65年にわたって守ってきたのは、「日米同盟」といわれる日米安保条約であって、日本国憲法ではない。どうして、こんな簡単なことが理解できないのだろうか。

 日本国民がきな臭いことを嫌うのは理解できるが、もし、安倍内閣が民主党などの反対を押し切って、安全保障関連法を成立させていなかったとしたら、「日米同盟」という鎧(よろい)が綻びていたことだろう。

 「平和憲法」は「万邦無比」(=世界に例がない、日本だけが持っている)のものだ。

 先の大戦末期に、狂信的な国粋主義者や高級軍人たちと、朝日新聞が「神州不滅」を唱えて、本土決戦を「一億総特攻」によって戦うことを叫んだが、「平和憲法」も大和魂と呼ばれた精神主義と同じものだ。

 先の大戦の惨憺(さんたん)たる敗戦に、まだ懲りていないのだ。立憲民主党の枝野幸男代表には、大戦末期の陸軍将官の軍服が、よく似合うと思う。

 ■加瀬英明(かせ・ひであき) 外交評論家。1936年、東京都生まれ。慶應義塾大学卒業後、エール大学、コロンビア大学に留学。「ブリタニカ百科事典」初代編集長。福田赳夫内閣、中曽根康弘内閣の首相特別顧問を務める。松下政経塾相談役など歴任。著書・共著に『小池百合子氏は流行神だったのか』(勉誠選書)、『「美し国」日本の底力』(ビジネス社)など多数。