【日本を守る】迎撃システムを緊急整備せよ 北の脅威に自滅的な「専守防衛」は不要

首都・東京を弾道ミサイルから守るPAC3=新宿区の防衛省

★(5)

 トランプ米政権が、北朝鮮に先制攻撃を加えることがなければ、来年も朝鮮半島では高い緊張が続こう。それとも、北朝鮮は経済制裁によって崩壊するだろうか? この冬、北朝鮮は凶作によって「深刻な危機」を迎えるといわれる。

 だが、自壊しまい。

 かつてのクリントン米政権は、金日成(キム・イルソン)主席が死亡して、金正日(キム・ジョンイル)総書記が継ぐと、北朝鮮で飢饉(ききん)によって100万人以上が餓死したので「ほどなく崩壊する」と判断した。北朝鮮が「核開発をしない」と約束したために、経済援助を与えた。

 ところが、北朝鮮は人口が2000万人台と小さいため、体制が揺らがなかった。

 歴史を振り返ると、朝鮮半島では苛酷な政治が行われていたが、人口が大きな中国で王朝が頻繁に交代したのと違い、新羅(紀元前57年~935年)も、高麗(918年~1392年)も、李氏朝鮮(1392年~1910年)も人口が少なく統制しやすいため、それぞれ470年から990年も続いた。

 この間、日本はどうすべきか。

 北朝鮮からの脅威は、弾道弾(弾道ミサイル)しか考えられない。北朝鮮が航空機を用いて日本を攻撃することはあり得ない。特殊部隊が上陸してきても、対応できる。

 弾道弾は人に例えれば、「生真面目で、決められた道を愚直に進んでくる」ので、迎撃ミサイルで撃破できる。航空機や巡航ミサイルは、右へ左へ高く低く自由自在に飛ぶから、撃破するのが難しい。北朝鮮はハイテクの巡航ミサイルを持っていないし、航空機はすべて旧式だ。

 ところが、日本は弾道弾を迎撃するために、海上自衛隊のイージス艦を除けば、北海道から沖縄まで、わずか17セットのPAC3(地対空誘導弾パトリオット)しか保有していない。東京では、市谷本村町の防衛省の構内に1セット配備されているが、せいぜい半径30キロメートルしか守れない。

 米国から、地上配備型ミサイル迎撃システム「イージス・アショア」や、PAC3などの最新システムを緊急輸入して、弾道弾に対する守りを固めるべきだ。

 ドナルド・トランプ大統領が来日したときに、米国製兵器を「押し売りした」といって、一部の野党やメディアが非難したが、世迷い言(ごと)だ。国民の生命を軽んじている。ありがたく買わせていただこう。

 日本国憲法の解釈による「専守防衛」は、国民の生命を危険にさらしている。北朝鮮を攻撃できる能力を、急いで持つべきだ。自滅的な「専守防衛」にこだわって、悲惨な本土決戦を戦うことを選んではなるまい。 =おわり

 ■加瀬英明(かせ・ひであき) 外交評論家。1936年、東京都生まれ。慶應義塾大学卒業後、エール大学、コロンビア大学に留学。「ブリタニカ百科事典」初代編集長。福田赳夫内閣、中曽根康弘内閣の首相特別顧問を務める。松下政経塾相談役など歴任。著書・共著に『小池百合子氏は流行神だったのか』(勉誠選書)、『「美し国」日本の底力』(ビジネス社)など多数。