【新・悪韓論】文政権の左翼全体主義の怖さここにあり 経済学者も「恐ろしくて批判できません」

文大統領率いる青瓦台(大統領府)は「左翼全体主義」に突き進んでいる

 韓国・文在寅(ムン・ジェイン)政権の経済政策は、世界史上でも「類例のない実験」といえるだろう。

 法定最低賃金を3年間連続して15%超も引き上げ、零細企業には国が補助金を出して、増加する人件費の一部を補填(ほてん)する。そして、公社・公団の人員を増やし、国と公共部門が支払う人件費によって消費を拡大して景気を好循環に乗せるというのだ。

 この壮大すぎる実験に対し、経済界も経済学者も批判的意見を言わない。いや、正確には言えなくさせられている。これが文政権の“すさまじさ”だ。ロウソクデモから誕生した左翼全体主義の怖さがここにある。

 韓国は来年から法人税率を23%から25%に引き上げる。世界の大勢とは逆の道だ。侃々諤々(かんかんがくがく)の論争があり、経済団体が反対の陳情に走り回るのが普通の国だ。

 しかし、論争も陳情活動もなかった。国会で引き上げが決まったとき、経済団体は声明すら出さなかった。

 非正規職の原則「正規職化」に理路整然と反対論を唱えた経営者総協会(経総)の副会長に対し、文大統領は「経総も非正規職による社会的二極化を招いた主要当事者の1つの軸であり、責任感を持って真摯(しんし)に省察、反省することが先になければいけない」と述べた。

 すると与党や関係官庁からの「じゅうたん爆撃」(=韓国経済新聞の表現)が開始され、副会長は完全に“去勢”されてしまったようだ。

 じゅうたん爆撃は、よほど激烈だったのだろう。これがあって以来、経済団体は完全に「モノを言わぬ団体」になってしまった。経済学者の間からも、文政権の経済政策に対する批判的見解は出てこない。

 韓国経済新聞(韓国語サイト、2017年12月4日)が国内の経済学者50人を対象に実施したアンケートによると、86%が「現実の問題に積極的に声を出さなければならない」と答えた。それなのに78%は「国内経済学界で論争が消えた」との認識を示した。

 同紙は「政府の政策を批判するのが負担だ」と述べた経済学者が少なくなかったことも伝えている。「批判するのが負担だ」とは、かみ砕いて言えば「恐ろしくて批判できない」だ。

 ある教授は「政府批判をして『苦言専門』というレッテルを貼られたら、さまざまな政府委員会の活動や社外取締役の座を務めるのも難しい」と打ち明けたとも、この記事は伝えている。国の将来のために学者として発言するよりも、わが懐の方が大事だ-まさに滅私奉公の逆である「滅公奉私」だ。

 経済部門でも与党系のシンクタンクには、官職を得るためのコネづくりを狙う教授が殺到しているという。

 文政権の「反市場・親労組」型経済政策は、もはや一部保守系紙の論説を除けば、批判の声に出くわすこともなくなっている。国家経済が破綻するときまで、ポピュリズムに傾き続けるのだろう。

 ■室谷克実(むろたに・かつみ) 1949年、東京都生まれ。慶応大学法学部卒。時事通信入社、政治部記者、ソウル特派員、「時事解説」編集長、外交知識普及会常務理事などを経て、評論活動に。主な著書に「韓国人の経済学」(ダイヤモンド社)、「悪韓論」(新潮新書)、「呆韓論」(産経新聞出版)、「ディス・イズ・コリア」(同)などがある。