【昭和のことば】「ハナキン」では満足できない! “前日”の夜を派手に楽しむ「ハナモク」(昭和63年)

 時代はバブル期。週休2日制の前日、金曜日の仕事上がりの夜遊びを派手にする「ハナキン(華の金曜日)」では満足できず、金曜日からはスキーや海外旅行などのレジャーでたっぷり楽しむので、その前日の木曜日の夜を派手に楽しもうということば、それが「ハナモク」である。旅、グルメ、ファッションなどの消費が加速度的に増大していった時期のことばだ。

 この年の主な事件は、「六本木のディスコ『トゥーリア』店内で重量約2トンの照明が落下。死者3人、負傷者14人」「ファミコン用ソフト『ドラゴンクエストIII そして伝説へ…』(ドラクエIII)が発売」「青函トンネル開通」「東京都文京区後楽に東京ドームが完成」「中国で起きた上海列車事故で、修学旅行中の高知学芸高校の生徒と教師28人が死亡」「江副浩正会長がリクルート事件の責任で辞任」「遊漁船『第一富士丸』と海上自衛隊の潜水艦『なだしお』が衝突。死者30人、負傷者17人」「ソウル五輪開催」「『週刊少年ジャンプ』(集英社)が発行部数500万部を突破」「竹下登改造内閣発足」など。

 この年の映画は『ラストエンペラー』『となりのトトロ』。本は吉本ばなな『キッチン』、村上春樹『ダンス・ダンス・ダンス』、村上龍『トパーズ』。朝シャンが流行し、ファッションではワンレンボディコンの流行が始まった。

 バブル景気に湧く一方で、昭和天皇の病状が心配され、イベントの縮小や自粛などの現象も起こっていた。ハナモクとは、ある意味、高度経済成長の行き着いた先、昭和最後のホワイトアウトを象徴することばのようである。 (中丸謙一朗)

 〈昭和63(1988)年の流行歌〉 「パラダイス銀河」(光GENJI)「乾杯」(長渕剛)「MUGO・ん…色っぽい」(工藤静香)