トランプ氏、中露は「米国に挑戦するライバル」 政権初、国家安全保障戦略発表の狙い

「安保戦略」で北や中露を強く牽制したトランプ米大統領=18日(AP)

 ドナルド・トランプ米大統領は18日午後(日本時間19日未明)、政権初の「国家安全保障戦略」を発表した。米国の国益を最優先する「米国第一」を掲げる一方、中国とロシアを「米国に挑戦するライバル」として、現在の世界秩序を乱そうとする「修正主義国家」と位置づけた。北朝鮮も「ならず者政権」と非難した。軍事脅威を抑えるため、オバマ政権などで弱体化した軍事力を、大幅に拡大する方針だ。

 「米国は再び強くなる」

 トランプ氏は18日の演説で、こう訴えた。

 新戦略は、(1)米国民と米国土の防衛(2)米国の繁栄推進(3)「力による平和」の堅持(4)米国の影響力拡大-を「4つの柱」に据えた。

 トランプ氏は、国際社会が「新たな競争の時代にある」として、ライバル国に関与すれば、信頼関係が構築できるとの前提に立った過去20年間の安保政策が見直しを迫られていると主張した。

 中露については、「米国に挑戦するライバル」と対抗意識を見せ、世界での米国の政治、経済的優位を保つ方針を表明した。中国が経済力を駆使してインド太平洋地域で影響力を拡大していると危機感を示し、ロシアが世論操作を行うため、世界でサイバー攻撃を仕掛けていると批判した。

 さらに、「核・ミサイル開発」などを強行する北朝鮮と、テロを支援するイランを「ならず者政権」と非難し、ならず者政権と修正主義国家、過激派組織「イスラム国」(IS)など国際テロ組織の3つを米国への「挑戦者」と位置づけた。

 トランプ政権の新戦略の狙いは、何か。

 国際政治学者の藤井厳喜氏は「政権初の国家安全保障戦略で、国内向けに『強い米国』を打ち出した」と指摘する。

 拓殖大海外事情研究所所長の川上高司教授は、新戦略について、ハーバート・マクマスター米大統領補佐官(国家安全保障問題担当、陸軍中将)らがまとめたと指摘し、次のように解説した。

 「中露に対し、強硬的な姿勢を打ち出しているように見えるが、直接的表現はトーンダウンしている。相手国を脅しながら、利益を得ようという『ディール(取引)外交』を重んじるトランプ氏の意向を反映しているのではないか」