【日本の解き方】韓国外交の不思議な行動原理 中国に服従し日米に傍若無人、もはや通用しない外交のダブスタ

康京和外相

 慰安婦問題をめぐる日韓合意について、韓国外務省の作業部会は日本政府との交渉過程についての検証結果を発表するとしている。一方で、来日した康京和(カン・ギョンファ)外相は安倍晋三首相に平昌(ピョンチャン)冬季五輪への出席を求めた。常識的にはちょっと首をかしげたくなることだが、韓国外交はどのような行動原理に基づいて動いているのか。

 文在寅(ムン・ジェイン)大統領が中国を国賓として訪問したことと併せて考えると、韓国の外交スタイルが見えてくる。

 カギとなるのは、半島国家としての歴史だ。地続きの大陸側と、海を隔てた海洋側に挟まれながら国家運営するという宿命がある。

 これまでの歴史をみても、朝鮮王朝は「事大交隣」の路線だ。事大とは「大国に事(つか)える」ことであり、陸続きの中国に服従する朝貢関係だ。交隣は「隣国と交わる」ことで、海を隔てた日本とは距離を置いた対等交際だ。

 しかし、朝鮮戦争でこの構図に変化が起こった。米国が介入し、朝鮮半島は南北に二分され、南半分の韓国は大陸側の中国から離脱し、海を隔てた日本を含む西側についた。そして米国と同盟関係を結んだ。

 一方、韓国と対峙(たいじ)する北朝鮮は中国の同盟国だ。韓国は「事大交隣」を大きく変更した。日本も米国の同盟国なので、日米韓という新しい関係になった。

 そもそも、朝鮮半島の歴史において、現在の韓国のように朝鮮半島の一部が大陸側の影響を直接的に受けないのは、高句麗、百済、新羅の三国時代以来ともいえる。

 この中で、米軍の高高度防衛ミサイル(THAAD)の韓国配備問題がある。現在が「事大交隣」ではなく、韓国が西側の一員という新たな関係となった以上、北朝鮮の脅威に備えるには、THAADの配備は自然であるが、最近になって超大国へ歩もうとする中国を刺激した。

 この中国の怒りに、韓国は「事大交隣」のDNAが再び働き出したと考えるのがいい。正確にいえば、近年における中国の躍進に、韓国が恐れおののいて「事大交隣」が働き、2015年9月、抗日戦争勝利70周年軍事パレードに朴槿恵(パク・クネ)大統領が西側諸国の国家元首でただ一人参加したので、米国がTHAADを配置させたという経緯がある。

 冒頭の文大統領の訪中は、まさに「事大」だが、中国には冷たくあしらわれた。そして、日米に対しては「交隣」であり、外交の非常識となっている。

 例えば、9月にニューヨークで開かれた日米韓首脳会談では、北朝鮮への圧力で合意しながら、韓国は北朝鮮への人道支援を打ち出した。トランプ大統領の訪韓時に、元慰安婦を晩餐(ばんさん)会に招いた。そして日本に対して、慰安婦問題の日韓合意を反故(ほご)にしようとしたり、平昌五輪が窮地になると安倍首相の訪韓要請をしたりの傍若無人ぶりだ。

 「事大交隣」は外交のダブルスタンダードである。今の世界ではもはや通用しない。(元内閣参事官・嘉悦大教授、高橋洋一)