【日本の解き方】安倍政権5年で何が変わったのか 雇用大幅改善、積極的外交で高まる発言権…課題は迫る半島危機

第2次政権発足から5年を迎えた安倍首相

 第2次安倍晋三政権誕生から5年が経過した。この間、経済や外交、安全保障面で何が変わったのか。まだやり残していることは何か。

 経済面での成績について筆者は、雇用60点、所得40点の合計100点を満点として評価している。

 雇用は失業率の下限となる「構造失業率」の水準である2%台半ばを満点の60点とするので、現状は55点だ。

 所得では国内総生産(GDP)の動向を見る。2014年の消費増税の前までは良かったが、その後は消費が伸び悩んだので40点満点の15点だ。

 合計70点なので、まあまあの合格点だ。何より雇用の確保に成功したことで最低ラインの経済政策は達成できたといえる。

 安倍政権では雇用環境を劇的に改善できたので、影響をもろに受ける若者にとっては朗報になっている。就職難に苦しみ、ブラック企業を跋扈(ばっこ)させた民主党政権時代と今は全く違う状況となった。この結果、若者の安倍政権への支持率は高く、政権の躍進に大きく寄与している。

 失業率が構造失業率の水準まで低下する(これは同時にインフレ率を目標の2%にすることにもなる)には、あと有効需要をGDPの2%程度、10兆円程度押し上げる必要がある。これを金融緩和と財政出動で行うことが今後の課題だ。それができれば、賃金は伸び、消費への好循環にもつながり、経済はほぼ満足できる結果になる。

 外交面では、安倍首相の外遊回数が際立っている。戦後最多の外遊は、小泉純一郎元首相の51回だった。安倍首相は2006年からの第1次安倍政権で8回、第2次~第4次政権では、今年11月までに59回である。訪問国・地域は70、延べにすると129と、これも戦後最多である。国会日程で縛られる日本の首相としては、過去にない外交を展開しているといえるだろう。

 こうした外交経験が、国際社会で安倍首相の存在感を高めている。先進7カ国(G7)サミットでは、ドイツのメルケル首相に次ぐ常連で、日本の発言権も大きくなった。この経験が、トランプ米大統領との信頼関係を増すのに大いに役立っている。トランプ大統領は安倍首相を信頼していると公言しており、訪米した日本の首相の中では、安倍首相はこれまでにない待遇を受けたほどだ。

 安全保障面では、安保関連法を成立させたのがポイントだ。集団的自衛権について、憲法上認められるとはいうものの、実際にはその発動に法的な安定性がなかった。その根拠を作ったという意味で、やっと実効的なものとなった。集団的自衛権については、戦争に巻き込まれると一部の反対もあったが、過去の戦争のデータ分析では、戦争の確率を減少させることが実証されている。その意味では国際常識に日本も一歩近づいた。

 今後の課題は、目の前に迫っている朝鮮半島危機である。北朝鮮の核・ミサイル開発や国連決議の進捗(しんちょく)をみると、春までに軍事オプション行使か北朝鮮の降伏があっても不思議ではない。(元内閣参事官・嘉悦大教授、高橋洋一)