【回顧2017】「働き方改革」「憲法改正」の大きな前進 『ワイドショー政治』だった永田町2017

安倍首相の「憲法改正」への思いは真剣だ

 2017年の永田町は、「ワイドショー政治」という言葉がピッタリの1年だった。政治の話題には事欠かなかったが、あえて特筆すべき事項をいうのならば、次の2つを取り上げたい。

 1つは「働き方改革」である。

 まだ日本の隅々まで行き渡ってはいないが、長時間労働の問題に対する社会全体の意識はずいぶんと高まった。「働き方改革」は、女性が「育児と仕事を両立する」ためには絶対に必要なことである。同時に、育児や介護がなくても、人生をどう生きるかという、価値観の大転換を迫るものでもある。

 長時間労働の要因ともなっている「必要以上の残業」(=周囲に気兼ねして自分だけ帰れないという配慮)は、一方で個人主義に走らない「日本人の美徳」と言われてきたことでもある。すぐには変わらないだろう。

 それでも、「家族や自分自身の人生を楽しむ」ということを、もう少し優先的に考えてもいいという“社会の雰囲気”が出てきたことは、大きな前進といえる。これを定着させるには、残業代を当てにせずに生活ができ、余暇を楽しめるだけの給与や、さまざまなサービスのコストの問題をクリアしなくてはならない。

 「休んで遊びに行け」と言われても、家族全員で旅行に行くのは、子供のスケジュールなども考えても、年に1回が精いっぱいだ。「働き方改革」だけでは解決できず、今はまだ中途半端である。来年はより国民生活の実態に即した、さらなる施策と社会の理解が進むことを期待したい。

 もう1つは、憲法改正に向けて、政治の真剣度が増したことである。

 安倍晋三首相が「自衛隊の明記」「高等教育の無償化」という改正点と、新憲法で2020年東京五輪を迎えるというスケジュールを具体的に示したことが、そのきっかけとなった。

 さらに、「緊急事態条項の創設」「参議院の合区解消」を加えた4項目を、10月衆院選での公約とし、選挙後は自民党憲法改正推進本部で真剣な議論が行われている。

 正直、かなり唐突な4項目で、私は「これを軸に進めることがいいのか」と疑問を感じる。それでも、改正のスケジュールが実感できるようになってきたことは、大きな前進であろう。

 ただ、実現のためには、安倍首相がまず、自民党総裁に3選することが必須となる。国民生活の隅々に、景気回復の実感がないことが3選を阻む要因でもある。

 政権党である自民党議員の一人ひとりは、官邸や首相の意向を伺うばかりではなく、国民にとって必要な政策は何かを、真剣に考えてもらいたい。 =おわり

 ■細川珠生(ほそかわ・たまお) 政治ジャーナリスト。1968年、東京都生まれ。聖心女子大学卒業後、米ペパーダイン大学政治学部に留学。帰国後、国政や地方行政などを取材。千葉工業大学理事も務める。政治評論家の細川隆一郎氏は父、細川隆元氏は大叔父。熊本藩主・細川忠興の末裔(まつえい)。著書に「自治体の挑戦」(学陽書房)、「政治家になるには」(ぺりかん社)