山口組分裂から2年4カ月 三つどもえ、18年どう動く?「6代目は落ち着き取り戻している」

山口組の篠田建市組長

 国内最大の指定暴力団6代目山口組(篠田建市=通称・司忍=組長)が分裂して2年4カ月が経過した。離脱勢力による神戸山口組(井上邦雄組長)は2017年4月に2つに割れ、任侠山口組(織田絆誠代表)が結成。三つどもえの対立状態が続いている。「3つの山口組」は18年、どう動くのか。36年にわたり山口組の動向を追い続けるフォトライター、堺恭三氏に聞いた。

 --「3つの山口組」の現状を

 「6代目は分裂の混乱から落ち着きを取り戻している。神戸や任侠から組員が戻ってきており、若干人数が増え、余裕が感じられる。神戸は任侠の結成の影響で完全に勢いが止まった。任侠は織田代表の求心力で勢いがあるようだが、全体の組員数は流動的だ」

 --神戸が分裂し、任侠が結成された理由は

 「任侠が二度の会見で指摘しているように、井上組長が組長を兼ねる中核組織・山健組への身びいきと金銭的吸い上げがあり、そこに山健組の権力闘争が絡んでいる。織田代表は山健組で組織改革を行い、力をつけていたが、外様ゆえトップを取るつもりはなかったのでは。ただ、信奉者でつくる織田一門は山健組で力を持ち始めていた。そんな一門や同調した組長らに押し上げられたのが真相ではないか」

 --任侠は擬制血縁関係を結ぶ盃事を行わないなど、従来のヤクザとは一線を画している

 「盃事はないし、本部もない。当然、本部当番もないし、服装も自由。そのうえ会費も安いから活動がしやすい。ただ、大人数の組織を固めるには盃事が必要だ」

 --3組織の2018年指針が出た。6代目は17年と同じ「和親合一(わしんごういつ)」だった

 「和をもって内を固めるとの意味。分裂問題の終結を図るまで、この指針を続けるのではないか。田岡一雄3代目時代に回帰し、正統性を訴えているという指摘もあるが、6代目はもとより本家本元という立場だ」

 --神戸の「一燈照隅(いっとうしょうぐう)」と任侠の「実践躬行(じっせんきゅうこう)」は

 「神戸は一人一人が頑張ることで、前進できるという思いがある。4月に分裂するまでは直参(直系組長)の増員の話もあり、勢いがあったが、今は現状維持が精いっぱい。本部事務所も閉鎖された。9月の織田代表襲撃事件で警察当局を怒らせた結果だ。任侠は口先だけではなく、実践していこうという方針だ」

 --任侠は将来的に6代目との統合を目指すとしている

 「一方的な主張をしているだけでは統合できない。織田代表は神戸時代に全国で示威行動を展開しており、抗争に発展したケースもある。6代目の中には『受け入れられない』という声も聞く。まずは6代目と対等に交渉できる組織に拡大していくとみられる」

 --任侠が組織拡大に動けば対立が激化する恐れも

 「6代目との統合を目指しているのだから、6代目とぶつかる可能性はない。ただし、神戸とくに山健組との抗争の可能性は十分ある。山健組にも『織田憎し』の感情を抱く者は多い」

 --恐喝罪で服役している6代目のナンバー2、高山清司若頭の出所も2年後に迫っている

 「高山若頭が出所すれば、6代目を軸に任侠や神戸を巻き込んだ組織の再編の動きは必ず出てくる。それだけの力を持っている。服役していなかったら分裂していなかったはずだ。ただ、暴力団排除の動きは年々強まっており、神戸だけでなく6代目の総本部も使用禁止になる可能性もある。はっきり言えるのは組織のマフィア化が進むことだ」

 ■堺恭三(さかい・きょうぞう) フォトライター。1957年、大阪府生まれ。フォトライターとして3代目時代から36年にわたって山口組を取材。「週刊実話」「実話時代」などに執筆している。著書に「菱番カメラマン 山口組激動の25年を撮る」(メディアボーイ)がある。