【新・悪韓論】「ウリンピック」になってきたぞ 迫る「李明博逮捕」の衝撃、安倍氏訪韓の時期ではない

開催まで1カ月を切った平昌冬季五輪だが…(AP)

 韓国・平昌(ピョンチャン)五輪がにわかに、オリンピックならぬ「ウリンピック」の色彩を濃くしてきた。北朝鮮と韓国の「従北」文在寅(ムン・ジェイン)政権が、「世界の皆さん、スポーツなんてもうどうでもいいから、ウリ(=韓国語で『われわれ』の意味)のむつまじい姿を見てください」と言っているようなものなのだ。

 しかし、ウリンピックの開催までには、韓国内で一大衝撃が走る可能性がある。李明博(イ・ミョンバク)元大統領の逮捕だ。マスコミ報道を極小化し、国民の衝撃を最小化するにはウリンピック開催直前が絶好のタイミングになるだろう。

 それにしても、ウリンピックに関しては、不思議なことがある。

 韓国は、世界各国に首脳が開会式に出席するよう要請している。「平和の祭典」を盛り上げるためという。とりわけ、日本と米国、中国、ロシアの首脳を気にしている。ところが、北朝鮮のトップである金正恩(キム・ジョンウン)朝鮮労働党委員長には、呼びかけていないのだ。

 世界の平和にとって最大の問題は、北朝鮮の「核・ミサイル開発」だ。ウリンピックを主催するなら、「合同チーム」の一翼である北朝鮮の首脳が出てくるのが当然ではないか。それでこそ「平和の祭典」らしくなるだろうに、呼びかけてもいない。

 「従北」政権としては、きっと「恐れ多くて『平昌に来い』などとは言えない」のだろう。

 韓国の与党機関紙といえるハンギョレ新聞は「フランスは大統領が来る」と早々報じていたが、誤報だった。米国も中国もロシアも首脳はウリンピックに行かない。

 そうしたなかで、「安倍晋三首相は、平昌五輪開会式(2月9日)に出席するため訪韓する考えを明らかにした」(産経新聞、24日朝刊)という。

 しかし、開会式当日やその前後に、「慰安婦問題に関する韓国の新方針」や、「日本公館前の慰安婦像撤去」「北朝鮮への圧力」「北朝鮮の『核・ミサイル開発』の放棄」といった重大問題をじっくり協議する時間が取れるのだろうか。その協議の結果が「事実上の決裂」になることは目に見えている。

 むしろ、韓国側が望んでいるのは「行事を盛り上げるための外国使節の一員」としての訪韓だ。安倍首相が「行く」と言っても、韓国に「会談のために迎える」用意が整うかどうか。

 いま韓国の政権は、本当は五輪とは関係ない北朝鮮の芸術団(三池淵=サムジヨン=管弦楽団)をどう接遇するかに気をもんでいる。

 そのうえ、韓国の国内情勢は別の分野で緊迫している。

 検察は、前出の李元大統領側近を次々と逮捕し、国家情報院の資金流用や、民間人査察などの容疑で取り調べを進めている。それに対し、李氏が17日、「積弊清算という言葉で行われる検察の捜査に、多くの国民は『保守壊滅を狙った政治工作』であると同時に、『盧武鉉(ノ・ムヒョン)元大統領の死に対する政治報復』と考えている」と指弾した。

 この発言に対し、青瓦台(大統領府)スポークスマンは18日、「盧氏の死に直接言及し、政治報復などと語ったことに怒りを禁じ得ない」とする大統領発言を伝えた。

 絶対権力者である現職大統領が「怒りを禁じ得ない」と述べたことは、検察に対する指揮権発動と言ってよい。日本の首相が重大懸案を持って訪韓する時期ではない。

 ■室谷克実(むろたに・かつみ) 1949年、東京都生まれ。慶応大学法学部卒。時事通信入社、政治部記者、ソウル特派員、「時事解説」編集長、外交知識普及会常務理事などを経て、評論活動に。著書・共著に『悪韓論』(新潮新書)、『崩韓論』(飛鳥新社)、『韓国リスク』(産経新聞出版)など多数。