南北合同チームに冷ややかな韓国国民 「ヘル朝鮮」で若者激怒、文政権に嫌気

 2月9日に開幕する平昌五輪への北朝鮮参加という“お題目”の前で、アイスホッケー女子の選手に犠牲を強いる韓国政府に対して若者が激怒していると韓国メディアが報じた。1月17日の次官級実務協議で韓国と北朝鮮の合同チームで出場することで合意。既成事実のように協議が進められ、当事者の選手は置き去りの状況に「努力が反映されず、ひどく失望している」と反発している。20~30代の若者は北朝鮮の「五輪ただ乗り」などと露骨に反対を表明し、まるで「平壌五輪」に嫌気を指す。しかも大半が合同チームを推進している文在寅大統領の支持者だという。最近発表された15~29歳の失業率が9.9%で、現行の統計調査で過去最悪を記録。「ヘル朝鮮(地獄の朝鮮)」と形容されるほど生きづらい社会情勢が背景にあると専門家は分析している。

 聯合ニュースによると、北朝鮮の平昌五輪参加問題で、韓国と北朝鮮は1月17日、開会式で朝鮮半島旗を掲げて合同入場し、アイスホッケー女子の合同チーム結成で合意した。韓国代表監督による選手選抜を行うことを何度も確認し、北朝鮮側も了解したという。最終エントリーは23人で、試合に出場できる「出場エントリー」は22人。韓国政府は代表最終エントリーに北朝鮮の選手が加わる「23プラスアルファ方式」を選択する方針で、「韓国の選手には被害がない」と語っている。韓国メディアは北朝鮮選手3~8人の合流を予測する。ただし、最終エントリーの増員には出場国に了解を求めなければならないが、五輪1次リーグの初戦で韓国と対戦するスイス連盟は「公正ではない。競争を歪曲するものだ」と反発しており、予断を許さない。

 文在寅大統領は昨年6月、北朝鮮へ平昌五輪参加を呼び掛けた際に女子アイスホッケーの単一チームに言及していた。それが既成事実化して俎上に上るが、中央日報は当時実施したアンケートで合同チームの構成に「反対」する市民は95%に上ったと伝えた。この流れは現在も根強く、「積極的な韓国政府の推進姿勢と一般の人々と大きな温度差がある」と朝鮮日報は報じた。

 それを物語るように、李洛淵首相はアイスホッケー女子が「メダルを狙える位置にはない」との認識を示し、韓国選手に被害意識はなく、「良いチャンスとして受け入れている雰囲気だ」と語ったと朝鮮日報は報じた。

 ところが、韓国チームの副主将は「南北合同チームの話を聞くたびに力が抜ける」と語り、ベテランGKは「私たちの意見や努力が全く反映されないまま、このような決定が下されて、ひどく失望している」と複雑な心境をのぞかせた。中央日報によると、韓国選手は長くて10年以上、実業団チームが一つもない中で、1日6万ウォン(約6000円)の国家代表手当だけで五輪の準備をしてきた。

 文在寅政権のアイホ女子の政治利用に、韓国のネットユーザーは「今回の件は本当にあり得ないと思う」「時代錯誤的な発想だ」などと書き込んだ。朝鮮日報は、若いネットユーザーたちが「北朝鮮の『ただ乗り』に強い抵抗感を抱いている」と指摘。毎日、五輪のことを考えながら4年以上も準備してきた選手たちのことは考えないのか-というネットユーザーの声も紹介していた。

 20~30代の若者たちが南北合同チームに抵抗感を示すのは、激しい受験競争や若者の就職難などの困難に直面する自分たちと同じ境遇にあると見ていると、朝鮮日報は専門家の分析を紹介。さらに、今の若者は北朝鮮を同じ民族ではなく「よその国」と思っているので、韓国で開催される五輪に彼らが便乗する姿に強い抵抗感を示しているのだろうと指摘する社会学の大学教授の解説を伝えている。

 文在寅大統領は昨年5月、雇用拡大を公約に当選した。今年1月10日の年頭記者会見でも冒頭で雇用政策を強調したが、韓国統計庁が1月10日に発表した2017年の雇用統計では15~29歳の青年失業者が10人に1人と増加。就業者数が3カ月連続で20万人台にとどまったのは、7年9カ月ぶりだという。

 経済専門家らは、大企業が採用に積極的に乗り出すように誘導して良質な雇用を新たに生み出す試みをせず、公務員の採用ばかり増やしている現在の雇用政策では「青年失業の構造的な解決は難しい」と見ていると朝鮮日報は報じる。

 韓国政府は今回の南北閣僚級会談で北朝鮮へ必要な便宜を図ることで一致したが、米国政府からは北朝鮮に対する国連制裁に違反することがあってはならないと釘を刺された。平昌五輪参加の協議は、北朝鮮ペースで進められていると言われるほど主導権を握られている。誰のための五輪か。早くも五輪ではなく、「南北冬季体育大会」との批判が出始めている。