【松井一郎 維新伝心】平昌五輪で得したのは北朝鮮 核開発の時間稼ぎ、国際社会の包囲網切り崩し

安倍首相は、平昌五輪開会式出席を説明した=1月24日、首相官邸

 韓国・平昌(ピョンチャン)冬季五輪が2月9日から始まる。日本選手団のみなさんには、これまでの努力の成果が発揮されるよう健闘を祈っている。個人的には、大阪にゆかりのある、ショートトラックの渡辺啓太選手(阪南大職員)の活躍に期待している。

 さて、その五輪開会式に、ドナルド・トランプ米大統領や、中国の習近平国家主席、ロシアのプーチン大統領らが欠席するなか、安倍晋三首相は出席する意向を表明した。「平和の祭典」「五輪に政治を持ち込まない」という趣旨からしても妥当な判断だ。

 韓国の文在寅(ムン・ジェイン)政権は、「最終的かつ不可逆的に解決」とした慰安婦問題の日韓合意について、日本側のさらなる措置を求める言動をした。日韓関係は悪化している。安倍首相は、日本国民にも訪韓に否定的意見があることも十分承知のうえで、大局的に決めたのだろう。

 安倍外交が、緊迫する状況下でも「常に対話の窓口を開けている」との方針を取り続けてきたこととも一貫している。

 ただ、訪韓する以上、開会式前に行われる日韓首脳会談では、韓国の文大統領に対し、「慰安婦問題は解決済み」という日本の断固たる姿勢を伝えることが重要だ。

 北朝鮮が「核・ミサイル開発」を強行し、恫喝(どうかつ)まがいの瀬戸際外交を続けるなか、「従北」の文政権は南北対話に盲進している。

 両国は38度線で南北に分かれており、軍事衝突が起これば、境界線から約30キロというソウルの被害は甚大だ。北朝鮮から大量の難民が押し寄せることを防ぎたい気持ちも理解できる。

 平昌五輪で、南北選手団は開会式で合同入場行進し、アイスホッケー女子では合同チームで戦う。朝鮮半島の平和を目指して、両国が友好ムードを醸し出している。

 だが、この間も北朝鮮が「核・ミサイル開発」を続けており、「世界の脅威」となっていることを忘れてはならない。

 平昌五輪後も懸念がある。国際社会で決まった北朝鮮への圧力や制裁を、韓国が実行できるかどうかだ。各国が一致して行動しなければならず、抜け道の存在は許されない。

 皮肉なことだが、平昌五輪で最も得をしたのは北朝鮮だ。「核・ミサイル開発」の時間稼ぎに利用できるうえ、協力姿勢を見せることで、国際社会の包囲網を切り崩すことができる。平昌五輪は、北朝鮮にとって絶好のイベントになった。

 日本国内で「あまり五輪が盛り上がっていない」と感じるのは、韓国との関係に加えて、北朝鮮の存在が影を落としているのではないか。絶えず国の上空をミサイルで脅かされている状況では、意識してしまう。

 南北の友好ムードが強調されても、日本国民には「北朝鮮が五輪を有利に使っている」と感じる。素直に祝福できない部分もあるだろう。(日本維新の会代表、大阪府知事・松井一郎)