韓国は南北関係改善の『主役』と勘違い「外交センスなし」 元国連制裁パネル委員・古川勝久氏インタビュー

韓国外交の問題点を指摘する古川氏

 平昌(ピョンチャン)冬季五輪を舞台に北朝鮮にやみくもに歩み寄る韓国に対し、専門家が苦言を呈した。国連安保理北朝鮮制裁委員会専門家パネル元委員で、朝鮮半島情勢に詳しい古川勝久氏(51)は、日米との連携を崩しかねない文在寅(ムン・ジェイン)政権の外交姿勢を「センスがない」「勘違いしている」と突き放す。

 朝鮮日報(日本語版)は1月30日、女子アイスホッケーの南北合同チーム結成について文大統領が、「南北関係を改善し、平和五輪のためにも良いことだと考えていたが、選手たちの立場を前もって十分に推し量ることができなかった」と述べたと報じた。

 五輪直前になって南北融和路線に突き進んだ文政権に対する国内外の視線は厳しい。

 著書に『北朝鮮 核の資金源 「国連捜査」秘録』(新潮社)があり、韓国についても幅広い人脈や知見を持つ古川氏は、韓国の外交センスには2つの問題点があると疑義を呈する。

 1つ目の問題は、韓国が自らを問題解決の主役だと思い込んでいることだという。

 「韓国は勘違いしている。自分たちで核・ミサイル問題を解決するといっているが、できるのは米国と北朝鮮だけで、韓国はあくまでも脇役だ。脇役という自覚を持ち続けることが大事だが、韓国、特に文政権はどうも自分たちが主役で解決するんだというニュアンスが捨てきれないようだ」

 かと思うと文大統領は年頭会見で「(南北協議の)実現についてトランプ大統領は評価されるべきだ」「米国主導の制裁や圧力の成果かもしれない」とトランプ政権を持ち上げる発言をして、北の反発を招く場面もあった。

 古川氏は「一方で民族の問題として解決するといい、他方で米朝対話が始まるおぜん立てをするというなど、相反することを言っている」と指摘する。

 文政権の対北外交は、金大中(キム・デジュン)政権の「太陽政策」から、盧武鉉(ノ・ムヒョン)政権を経た延長線上にあるともいわれるが、当時の反省を踏まえるべきだと古川氏。

 「南北関係の改善は信頼醸成面で意味があるが、脇役が主役になろうとしたら劇を混乱させる。それが2000年代の問題だったので、それを繰り返させないようにするのが必要だと思う」

 さらに古川氏は、韓国が慰安婦問題を蒸し返し、最終的、不可逆的に決着した日韓合意を覆そうとするかのような態度を見せたことについても「センスがない」と断じる。

 「南北会談合意の発表とほぼ同じタイミングで、あえて日韓合意を覆すようなことをした。これは日米韓の連携を乱す行為だ」と古川氏。

 平昌五輪後には米韓合同軍事演習も再開され、北朝鮮が再び反発を強めることも予想される。

 古川氏は「日米韓の間の齟齬を見つけて入り込み、離間させていろんな問題を引き出し、交渉を難しくさせるというのが1990年代から一貫した北朝鮮の手法だ。北の術中にはまらないよう日米韓の連携を崩さないことが非常に大事だ」と力説した。