北威圧、安倍首相が拉致問題解決に言及 「ナンバー2」に早期帰国実現を強く要求

安倍首相は、拉致被害者の帰国を強く迫った

 安倍晋三首相が、北朝鮮の「ナンバー2」に対し、拉致被害者の早期帰国実現を強く要求した。9日の平昌五輪開会式前に開かれた、韓国の文在寅(ムン・ジェイン)大統領主催のレセプション会場で、安倍首相は、北朝鮮の憲法上の国家元首で序列2位の金永南(キム・ヨンナム)最高人民会議常任委員長と言葉を交わし、拉致問題の解決に言及したのだ。

 「中身は言えないが、従来のわれわれの考え方を伝えた」

 平昌五輪の開会式終了後、安倍首相は宿泊先のホテルで、金永南氏との会話について、記者団にこう説明した。

 安倍政権は、拉致問題を最重要課題に位置づけ、早期の問題解決を方針に掲げている。金永南氏との短時間の会話で、安倍首相は「拉致問題」や「核・ミサイル開発」問題に言及した。特に、拉致被害者全員の帰国を強く求めたもようだ。

 金永南氏がどう応じたかは不明。

 マイク・ペンス米副大統領が、金永南氏と接触しないまま、レセプション会場を後にしたことからすると、安倍首相の接触は異例ともいえる。

 世界の危機といえる、北朝鮮の「核・ミサイル開発」に比べ、拉致は日本独自の問題である側面もあり、あえて金永南氏に接触したとみられる。

 金永南氏は、1983年に副首相兼外相に就任し、長く外相として知られた。金正恩(キム・ジョンウン)朝鮮労働党委員長の祖父、金日成(キム・イルソン)主席が94年7月に死去した際は、中央追悼大会で追悼の辞を述べた。

 つまり、北朝鮮では常に権力の中枢に位置し、正恩政権では90歳という高齢から“元老格”ともされている。当然、拉致の真相や、拉致被害者の現状についても知る立場にあるとみられる。

 安倍首相としては、その「大物」に日本の要求を明確に突きつけることで、膠着(こうちゃく)状態を打開しようとした狙いもありそうだ。