【最新国防ファイル】米海兵隊との実動訓練であらゆる戦術学ぶ「アイアンフィスト18」 島嶼部防衛

 2018年は陸上自衛隊にとって画期的な年となる。陸自創設以来最大となる、部隊の新編および改編が行われるからだ。中でも、今までなかったのが不思議と言われている、陸上自衛隊全体を一元的に運用する「陸上総隊」が新編される。

 陸上総隊には、いくつかの直轄部隊が編制される。その1つが日本版海兵隊「水陸機動団」だ。今回新設され、約2000人で構成される。随時増強していき、最終的には約3100人もの大部隊とする計画だ。

 日本の南西諸島部は、防衛空白地帯といわれる。防衛警備を完璧にするには、すべての島々に部隊を配置するのが一番だが、常日ごろから人材不足にあえぐ自衛隊には現実的ではない。

 そこで、敵が侵攻する兆候が見られれば、海上自衛隊艦艇などを使い、部隊を迅速に島々へ送り、敵の上陸を阻止する防御体制を構築する。万が一、敵に奪われたら、奪還作戦を繰り広げる。こうした戦術を実行するのが水陸機動団である。

 ゼロから作り上げるわけではない。部隊の中核となるのが、02年3月27日に新編された「西部方面普通科連隊」である。約660人で構成され、相浦駐屯地(長崎県)に所在する。

 同部隊は創設されると、米海兵隊からあらゆる戦術を学んでいった。その代表的訓練が、米西海岸にあるキャンプ・ペンデルトン(カリフォルニア州)で06年より毎年行われている「アイアンフィスト」だ。

 まずは、装具を身に着けたままプールで泳ぐ方法や、偵察用ボートの運用方法など、これまで陸自では考えてこなかった水陸両用戦の基本から学んでいった。

 年々レベルアップし、今年1月8日から2月18日まで行われている「アイアンフィスト18」が、いよいよ西部方面普通科連隊として最後の訓練となった。

 水陸機動団の主たる装備となるのが水陸両用車AAV7だ。陸自では52両を配備する。戦車の乗員を主として集め、要員育成を行ってきた。今回は米海兵隊のAAV7を借り、陸自隊員の手で操縦し、敵に侵攻されたと仮定した島へと着上陸する訓練を行っている。

 AAV7から下車した隊員たちは、コンバットタウンと呼ばれる訓練用施設に展開する。そこで敵役を演じる米海兵隊員と交戦し、駆逐していく。さらに敵主力をたたくべく、18年度よりトータル17機の導入が段階的に開始されるMV-22Bオスプレイを使った訓練も行った。こちらもパイロット教育はすべて米国で行われている。

 今回の「アイアンフィスト18」は、これまで積み上げてきた経験が試された。結果は、防衛省だけでなく米海兵隊も満足するものとなった。帰国後、西部方面普通科連隊は、水陸機動団の第1連隊として、離島防衛を支える大黒柱となる。

 ■菊池雅之(きくち・まさゆき) フォトジャーナリスト。1975年、東京都生まれ。陸海空自衛隊だけでなく、各国の軍事情勢を取材する。著書に『こんなにスゴイ! 自衛隊の新世代兵器』(竹書房)、『ビジュアルで分かる 自衛隊用語辞典』(双葉社)など。