確定申告前に「雲隠れ」…与党・佐川国税庁長官、国会招致拒否の『火種』 評論家「国民は不信感」

国税庁長官就任後、記者会見も開いていない佐川氏

 学校法人「森友学園」への国有地売却問題で、国税庁の佐川宣寿(のぶひさ)長官が国会論戦の火種になっている。野党は、財務省理財局長時代の答弁を「虚偽だ」と問題視し、国会招致や更迭を求めている。政府・与党は「必要ない」として拒否する構えだが、タイミングが悪い。確定申告の開始が16日なのだ。徴税部門トップの「雲隠れ」は批判を拡大させ、政権運営に支障をもたらしかねない。

 「ちょっと調べれば出てくる記録を調べもせずに出さないで、『ありません』と答え続けてきた方が、確定申告の後も『書類を残せ』と国民に強いる。説得力がないじゃないですか」

 立憲民主党の枝野幸男代表は14日の衆院予算委員会で、佐川氏をこう批判した。枝野氏がいう「記録」とは、国有地売却に至る、学園側と近畿財務局との交渉に関する文書だ。

 佐川氏は、昨年の通常国会で、学園との交渉記録を「廃棄した」と答弁していた。だが、財務省は9日、森友問題に関する20件の内部文書を公表した。国有地の賃貸契約を結ぶ際に法的問題がないか、財務局内の交渉担当と法務担当との間で交わしたやり取りなどを記したもので、財務省としては「交渉記録ではない」との見解のようだ。

 枝野氏は「交渉のいきさつを証明する文書が残っていたら、積極的に出すのが当たり前だ。当時の理財局長の認識を聞かなければならない」と指摘し、佐川氏の国会招致を要求した。

 これに対し、麻生太郎副総理兼財務相は「前職のことについて、国税庁長官として答える立場ではない」と拒否。自民、公明両党も現職の太田充理財局長に答弁させるとの立場だ。

 ただ、麻生氏は13日の衆院予算委で、佐川氏への批判が、徴税業務に与える影響について「十分あり得る」と語った。

 国民に不信感が残るなか、政府・与党はどう対応すべきか。

 政治ジャーナリストの細川珠生氏は「やはり、佐川氏が直接、説明すべきだ。拒み続ければ、国民に『逃げている』との印象を与える。政権運営に悪影響を与えかねない」と警鐘を鳴らした。

 評論家の八幡和郎氏も「佐川氏の説明には、文書の内容と異なる部分があり、国民も不信感を抱いている。政権側の強気の姿勢は、賢明とはいえない。国税庁長官はイメージが大事だが、佐川氏が定例会見を一度も開かず、国民の神経を逆なでしていることも稚拙な対応だ」と苦言を呈した。