厚労省は「三流」官庁 働き方不適切データ…考えられない大失態 評論家・八幡氏「ずさんな仕事許される体質」

不適切データ問題で答弁する厚労省の山越敬一労働基準局長。後ろは加藤勝信厚労相

 厚労省は19日、裁量労働制をめぐる調査で、一般労働者と裁量制で働く人の労働時間を異なる条件で比較していたことを明らかにした。考えられない大失態であり、政府は不適切だったことを認めて謝罪した。安倍晋三政権にとって「働き方改革」は看板政策だけに、野党は「捏造(ねつぞう)だ」などと攻勢を強めている。「消えた年金」問題などで「二流」「三流」の評価もある厚労省は、なぜ、ここまでお粗末なのか。

 衆院予算委員会は20日、安倍首相と関係閣僚が出席し、社会保障問題や政府の「人づくり革命」に関する集中審議を実施。野党は問題発覚を受け、「首相が虚偽答弁をしていた疑いがある」と批判を強める。

 野党6党は19日、裁量労働制の対象拡大を盛り込む、働き方改革関連法案の提出は認められないとの認識で一致した。菅義偉官房長官は、記者会見で「今国会での成立方針は変わらない」と述べ、法案提出前から攻防が激化している。

 問題となっているのは、「2013年度労働時間等総合実態調査」。一般労働者には「1カ月で最も長く働いた日の残業時間」を尋ね、法定労働時間の8時間を足して算出していたが、裁量制では単純に1日の労働時間を質問していた。

 安倍首相は1月29日の予算委で、この調査をもとに作成した資料を引用し、「裁量労働制の労働時間が一般労働者より短いというデータもある」と答弁した。だが、野党から「疑義がある」との指摘が相次ぎ、今月14日に撤回、謝罪した。

 厚労省の失態は、今回が初めてではない。

 2007年に、旧社会保険庁で基礎年金番号に未統合の記録が約5000万件ある「消えた年金問題」が発覚し、第1次安倍政権が同年の参院選で惨敗するきっかけにもなった。

 元通産官僚で評論家の八幡和郎氏は「(厚労省は)官僚の質が低い。かつては、実力より『厚労省第1志望』を重視して採用する傾向があった。社会福祉や弱者のための仕事をしているという『正義の味方』の意識が強く、ずさんな仕事が許される体質がある。モラルが緩い。(フランスのように)省庁の仕事全般を見直す『監察組織』が日本に必要だ」と指摘する。

 解体的出直しをすべきだろう。