イバンカ氏の五輪閉会式出席で文大統領を追試 ジャーナリスト・潮匡人氏「米は与正氏と比較」

訪韓するイバンカ氏。“あの人”よりも美しい…(ロイター)

 ドナルド・トランプ米大統領の長女、イバンカ大統領補佐官が23日から韓国を訪問する。平昌(ピョンチャン)冬季五輪の閉会式(25日)出席が目的だが、北朝鮮が仕掛けた「微笑み外交」に籠絡寸前とされる、韓国・文在寅(ムン・ジェイン)政権への“最終試験”という意味合いもありそうだ。注目される金正恩(キム・ジョンウン)朝鮮労働党委員長の妹、金与正(キム・ヨジョン)氏との接遇比較。果たして、韓国は同盟国として信頼できるのか、否か。イバンカ氏への対応次第では、米韓関係は史上最悪の状態に突入する可能性もある。 

 イバンカ氏は23日から3泊4日の日程で訪韓する。

 韓国紙、中央日報(日本語版)は20日、青瓦台(大統領府)関係者の「イバンカ氏は今回、米国公式代表団団長の資格で韓国を訪れる。文大統領が、金与正氏を迎えた以上に最高の礼遇をするだろう」という話を伝えた。

 与正氏は、北朝鮮の独裁者、正恩氏に直言できることで知られ、「事実上のナンバー2」との見方もある。正恩氏の「特使」として北朝鮮高官代表団を率いて訪韓し、9日の五輪開会式などに出席した。笑顔の後に時折見せた冷淡な表情が印象的だった。

 韓国政府が、それ以上の礼遇をするというイバンカ氏は、モデルとして活躍した美貌に加え、トランプ氏と同じ名門ビジネススクールを卒業した才媛。やはり父のトランプ氏に遠慮なく意見でき、米政権の政策決定にも影響を与える人物だ。

 昨秋にイバンカ氏が来日した際、日本も最高級のおもてなしをした。安倍晋三首相が夕食会に招待したほか、河野太郎外相や野田聖子総務相らとの個別会談も行われた。単なる大統領補佐官ではない厚遇だった。

 イバンカ氏は訪日後、韓国にも訪れるともいわれたが、直前になってキャンセルとなった。韓国メディアは当時、「政府の計画に支障」と失望感をあらわにした。

 今回、イバンカ氏は、トランプ氏の「重要なメッセージ」を携えて訪韓する可能性がある。訪韓中、主に文氏の金正淑(キム・ジョンスク)夫人が案内役を務めると伝えられる。

 米韓は現在、平昌五輪・パラリンピック中は延期した米韓合同軍事演習の実施をめぐって、微妙な状況にある。

 与正氏は10日、「従北」とされる文氏と会談した際、正恩氏の親書を手渡し、文氏の早期訪朝を要請した。南北首脳会談を呼びかけたとみられる。条件として、米韓合同軍事演習の延期・中止をひそかに求めたとみられ、この直後から、韓国政府の発言がブレ始めた。朝鮮日報は「韓米合同軍事演習にあいまいな態度を取り始めた韓国政府」と報じた。

 北朝鮮の「核・ミサイル開発」を放置したまま、南北対話が進むことは許されない。北朝鮮の時間稼ぎに協力することになり、日本や米国を含む世界の安全保障を危うくするからだ。

 安倍首相は9日、平昌で行われた日韓首脳会談で「米韓合同軍事演習を延期すべきではない」と主張した。これに対し、文氏は「わが国の主権の問題であり、内政問題だ」と反発したという。

 当然、米国は文政権にクギを刺している。

 ダン・コーツ米国家情報長官は13日、米上院特別委員会の公聴会で、北朝鮮は「米国の存亡に関わる脅威だ」と警告し、「決断の時がかつてないほど迫っている」と語った。

 北朝鮮も、米国の動きを警戒しているようだ。

 朝鮮労働党機関紙の労働新聞は20日、署名入りの論評で「世界的な『核強国、軍事強国』の地位に上がった(北)朝鮮を『最大の圧迫』などで屈服させられると思うこと自体が愚か」「トランプがヒステリックに狂奔しても、悲鳴にしか聞こえない」などと挑発した。

 今回のイバンカ訪韓をどう見るか。

 評論家で軍事ジャーナリストの潮匡人氏は「ホワイトハウスが、イバンカ氏への韓国の接遇・態度を注目しているのは間違いない。当然、与正氏と比較することになる。イバンカ氏を冷遇するようなことがあれば、大変なことになる。文政権側は『米韓合同軍事演習の再延期』を求めてくると思われるが、米国は聞く耳を持たないだろう。米国単独で、朝鮮半島周辺で軍事演習をやる可能性もあるのではないか」と話した。

 五輪・パラリンピック後の朝鮮半島危機が現実視されるなか、イバンカ氏は「韓国は同盟国として信頼できるか、否か」を最終判断することになりそうだ。