1日の残業が「45時間」!? うそデータまた噴出 大失態で「厚労省解体論」まで急浮上

厚労省に関連した主な不祥事

 厚労省の失態が止まらない。裁量労働制をめぐるデータ処理問題で21日、1日の残業時間を「45時間」と記すなど、新たな“不適切データ”が少なくとも117件見つかったのだ。加藤勝信厚労相が国会で「無くなった」と答弁していた調査原票も、同省の地下室で見つかったという。中央省庁として異常というしかない。野党側は、22日午後の衆院予算委員会の集中審議で、加藤氏らの責任を含めて徹底追及する。旧厚生省時代を含めて、同省は数々の事件や不祥事を起こしてきた。今回の大失態で、2001年の省庁再編の弊害が顕在化したという声もあり、「厚労省解体・労働省復活論」まで急浮上してきた。

 一体、厚労省はどうなっているのか。同省は21日に開かれた野党6党の会合で、新たな不適切データの存在を明かした。

 データは「2013年度労働時間等総合実態調査」の対象となった87事業所について、一般労働者の残業時間を記入した欄にあった。

 ある労働者の1日の残業時間が「45時間0分」、1カ月では「13時間24分」とされるケースなどがあった。小学生でも簡単に「おかしい」と分かる。聞き取りをした労働基準監督官のミスや集計時の誤入力の可能性があるが、職務への緊張感はないのか。

 「紛失した」としていた調査の原票は、いったん省内を捜したが見つからなかった。データ集計業者が「返却した」と回答したため、再度捜したところ、20日に同省の地下室で見つけたという。

 データ問題は、安倍晋三政権が看板政策に掲げる「働き方改革」の実現性に暗雲をもたらしている。

 政府は、関連法案のうち、裁量労働制の適用拡大の施行時期について、予定より1年遅らせ、20年4月とする方向で検討に入った。だが、「長時間労働を助長する」との野党の反発は収まらない。厚労省のデタラメな対応もあり、国民の不信感も増大している。

 野党6党は21日、法案提出の見送りや、裁量制で働いている人の労働時間調査の再実施を政府に求める方針で一致した。新たな不適切処理が明らかになったことで、22日午後の衆院予算委は、安倍首相や加藤厚労相の責任をめぐり紛糾した。

 厚労省を批判するのは、野党だけではない。

 元財務官僚である自民党の片山さつき政調会長代理は「厚労省には、数字へのこだわりがない。データの取り方、加工の仕方、外部への出し方について、透明性と正確性を上げてもらう必要がある」と夕刊フジの取材に応じ、クギを刺した。

 失態を重ねる厚労省の不祥事を振り返ると、枚挙にいとまがない。まさに「問題官庁」といえる。

 政治評論家の伊藤達美氏は「今回の問題発覚で、厚労省幹部ら事務方の処分は避けられない。加藤氏も、何らかのかたちで責任を取らざるを得ないだろう。政府は、再調査の実施など野党の要求を一定受け入れ、国民感情を逆なでしないように丁寧に対応すべきだ」と指摘する。

 第1次安倍政権は「消えた年金」問題で大ダメージを受け、約1年で終わった。厚労省絡みの不祥事は、致命傷になりかねない。

 政治評論家の森田実氏も「相当深刻だ。労働者の立場を考えて対応していれば、決して起きないことだ」と警鐘を鳴らし、続けた。

 「省庁再編に伴い、労働省をなくしたことが大失敗だった。労使双方に中立的な閣僚がいなくなり、経営者寄りの政治が行われるようになった。労働行政を熟知した官僚も不在となり、弊害は大きい。厚労省を分離し、労働省を復活させるべきだ」

 安倍首相は決断するのか。