【最新国防ファイル】掃海艇「えのしま」型 FRP製の掃海艇 木造の「ひらしま」型よりも長寿命で軽量

海上自衛隊の掃海艇「えのしま」

 新しい掃海艇「えのしま」は、2012年3月に就役した。以降、「ちちじま」「はつしま」と同型掃海艇は建造されていき、この3隻を「えのしま」型と呼ぶ。

 日本の掃海艇は一貫して木造船体としてきた。金属が発する磁気に反応して爆発する磁気機雷を避けるためだ。内部の居住区にも木製パーツが多用され、徹底して「木」にこだわってきた。

 しかし、NATO加盟国海軍を中心に、強化プラスチックであるFRP製の船体を持つ掃海艇がスタンダードになっていった。プラスチックの一種であれば、磁気機雷は反応しない。

 日本は世界から若干後れを取ったが、実用化に至らなかっただけで、1970年代からFRP船体の研究・開発は行われていた。ようやく日本は、ガラス繊維を強化プラスチックの中に入れて強度を向上させたGFRPと呼ばれる素材を用いて、掃海艇を作ることが可能なレベルに達した。

 当時、木造の掃海艇「ひらしま」型を建造している最中だった。5隻をつくる計画だったが3隻で取りやめ、急きょ、「えのしま」型を建造することにした。

 FRP製の一番大きなメリットは、木造掃海艇の寿命が15年から20年なのに対し、約30年と長持ちすることだ。木材では、どうしても水を含んで船体が重くなっていたので、軽量化にも成功した。これで積載できる資機材量も増加し、燃料効率もアップした。

 艇首には「JM-61M・20ミリ多銃身機関銃」が1門装備されている。これは機雷とおもりをつなぐ「係維索」と呼ばれるワイヤを切断し、海面へ浮かんできた機雷を射撃して誘爆処理するために使う。使い方はシンプルで、隊員が目視で機雷を捉え、引き金を引くという大戦中をほうふつさせる有人機関砲だ。

 爆破処理した際、機雷の破片が飛んでくるなど、射手の身に危険が及ぶ可能性もあるため、3番艇「はつしま」のみ、無人砲塔式の機関砲へと改められている。

 浮かんできた機雷に、水中処分員(ダイバー)が近づき、直接爆薬を仕掛ける方法もある。そこで、機雷近くまで接近するため、後部には「4・9メートル級複合型作業艇」が搭載されている。

 機雷を捜索するのは、国産開発された遠隔操縦式のロボット「水中航走式機雷掃討具S-10」だ。ソナーおよびカメラを使い、海中を漂う機雷を捜索し、下部に抱え込まれた爆雷により誘爆処理することもできる。

 こうして「えのしま」型で培った技術は、現在建造が進められている大型の掃海艦「あわじ」型(2017年~)にも生かされている。

 ■菊池雅之(きくち・まさゆき) フォトジャーナリスト。1975年、東京都生まれ。陸海空自衛隊だけでなく、各国の軍事情勢を取材する。著書に『こんなにスゴイ! 自衛隊の新世代兵器』(竹書房)、『ビジュアルで分かる 自衛隊用語辞典』(双葉社)など。