情報収集衛星きょう午後打ち上げ、厳戒態勢の種子島宇宙センター 北朝鮮の軍事施設を監視

H2Aロケットの打ち上げに伴う立ち入り規制を示す立て看板=平成30年2月25日、鹿児島県南種子町(草下健夫撮影)

 政府の情報収集衛星光学6号機を搭載したH2Aロケット38号機は27日午前、宇宙航空研究開発機構(JAXA)の種子島宇宙センター(鹿児島県)で打ち上げの最終準備作業が行われ、周辺は厳重な警戒態勢に入った。打ち上げは午後1時34分の予定だ。

 38号機は26日深夜に発射地点へ移動後、点検などの作業を続けた。発射時間帯の現地の天気予報は晴れ時々曇りで、打ち上げに支障はないようだ。

 情報収集衛星は北朝鮮の核・ミサイル関連施設などを監視する事実上の偵察衛星。地上をデジタルカメラのように撮影する光学衛星と、電波を利用して撮影するレーダー衛星の2種類があり、今回打ち上げるのは光学衛星の6号機。設計寿命を過ぎて運用中の光学4号機の後継機となる。

 国の安全保障を担う衛星の打ち上げとあって、警戒は厳重だ。警戒態勢は通常、打ち上げの3カ月ほど前に文部科学省の専門小委員会で議論され、内容の一部が公開される。ただ情報収集衛星では打ち上げの妨害などを防止するため、機微な情報があるとの理由で全面的に非公開だ。

 JAXAの担当者も「警戒の内容については、お話しできることがほとんどない」と口が堅い。こうした取材対応も警戒態勢の一環ともいえる。

 種子島宇宙センターは通常、一部の区域を除き一般の人も手続きをせずに入構できる。「世界一美しいロケット発射場」ともいわれる同センターは、一般向けの宇宙科学技術館があるほか、漁港や海水浴ができる砂浜が隣接するなど解放感すら漂う。だが打ち上げ当日は一変し、警戒態勢でピリピリしたムードに包まれる。

 通常の打ち上げでは、JAXAは警察や海上保安庁などの協力を得て、警戒区域に人や船舶が入らないよう監視や巡回をするほか、上空も監視する。今回は通常より厳しい態勢が敷かれているという。

 地元住民の一人は、平成15年に情報収集衛星が初めて打ち上げられたときの様子を振り返り「センター周辺の道路に警察官が20メートル間隔で立ち並び、それまでの打ち上げとは全く違う異様な光景だった。今は当時ほど厳しくないようだ」と話す。

 今回は27日午前4時に入構規制が始まり、通常は2カ所ある入り口を1カ所に制限。警戒所でIDカードなどのチェックを受けた人だけが10時半まで入場できる。プレスセンターが開室する午前9時ごろには、ここに報道関係者の車列ができそうだ。

 発射地点は海岸付近にあり、半径3キロの範囲が警戒区域として既に立ち入り禁止になっている。午前9時には、上空をロケットが飛ぶ沖合約30キロまでの海域の一部が警戒区域に加わる。

 H2Aの打ち上げは今年度はこれで5回目。担当する三菱重工業の平嶋秀俊射場チーム長は「今年度の最後で、しかも重要な衛星。初心と平常心を保って対応し、有終の美を飾りたい」と気を引き締める。

 今回はインターネットで打ち上げの様子を中継するJAXA放送は行われない。午後3時半ごろから同センターで政府関係者らが記者会見し、打ち上げの結果を説明する。