【真・人民日報】過剰反応する中国のナショナリズム 外国人優先の警察に批判殺到

外国人優遇が中国人のナショナリズムを刺激することもある

 中国人のナショナリズムに突然火がつくきっかけは、何も日本の歴史問題に限った話ではない。

 世界からいじめられた暗黒の近代史のせいか、対外的な問題で時に過剰反応するのが、この国の人々の一つの特徴でもあるからだ。

 ここ数年、経済的な台頭を遂げたとの認識が国内に広まる中国だが、その地雷はあいかわらず存在する。ただし、昨今では対日よりもむしろ「外国」という広い対象に向けて発揮されるケースが多いという。

 ナショナリズムに限った話ではないが、対外国という視点では、中国人はやたらと「よい顔」をしようとする「メンツ」の面と、小さなことで馬鹿にされたと腹を立てる過剰反応がある。

 そこで今週、まず取り上げたいと思うのが、中国人が何かにつけて対外的な顔(メンツ)を気にする体質についてだ。

 これは白人コンプレックスとも重なり、日本人にも共通する話題かもしれない。

 このテーマが中国で論争を巻き起こしたきっかけは、昨年12月4日に全国的な注目を集めたある報道だった。

 場所は雲南省昆明市。フランスから留学して同地で学ぶ一人の女子大生が、青色の電動スクーターを盗まれるという事件が起きた。

 被害の報せを受けた現地の昆明市公安局馬村派出所は、すぐに捜査を開始。結果、24時間以内に盗難されたバイクを見つけ出し、持ち主に返したという。

 まさに非の打ちどころのない対応だった。被害者は喜び、警察に対する感謝をSNSで叫ぶと現地メディアもこれをニュースとして取り上げたという流れだった。

 ところが、これがなぜか現地の人々の不評をかってしまう。

 曰く、「私が1年前に盗難されたバイクはどうなっているのか」「私の母親は銀行カードを盗まれているが、いまだ何の連絡もないままだ」「2014年に母の家に泥棒が入り42万元(約710万円)分の宝石が盗まれたが、その件は放置されたままだ」と警察に対するクレームが、やはりSNSで爆発したのである。

 そしてこのクレームはやがて、「外国人にばかり親切な警察」という批判へと変わっていった。

 騒動を機に過去に外国人の事件だけを優先的に解決した事例が次々と紹介され始める。

 例えば、浙江省ではパスポートを失くした外国人のために5トンのゴミを漁って見つけ出した南京の警察の美談がやり玉にあがり、「われわれはこんなに警察に親身になってもらったことある?」と批判するコメントがあふれた。

 そのあげくに出てきたのが、「100年前、われわれの国土はあれほど酷い蹂躙に遭った。そして100年後、何でこれほど卑屈に外国人の顔色を見ているのか」という言葉。

 中国人の持つ一面がよく分かるエピソードだ。

 ■富坂聰(とみさか・さとし) 拓殖大学海外事情研究所教授。1964年生まれ。北京大学中文系に留学したのち、週刊誌記者などを経てジャーナリストとして活動。中国の政・官・財界に豊富な人脈を持つ。『中国人民解放軍の内幕』(文春新書)など著書多数。近著に『中国は腹の底で日本をどう思っているのか』(PHP新書)。