厚労省、政府へ“忖度データ”提供? ジャーナリスト指摘「政権の意向に沿って恣意的にデータ加工か」

加藤勝信厚労相も苦渋の表情が続く

 裁量労働制の調査データで、新たに121件もの異常値が見つかった。これまでに判明した不備は、何と約500件に上る。止まらない厚労省の失態に、政府・与党ですら「考えられない」「一種の倒閣運動ではないのか」と不信感を募らせ、関係者も糾弾の声を上げている。かつて同省所管の独立行政法人に所属したジャーナリストの若林亜紀氏は、官僚側の忖度(そんたく)と、恣意(しい)的なデータ加工の可能性を指摘した。

 データ不備問題に野党が反発を強めるなか、衆院予算委員会は2月28日、2018年度予算案を採決した。同日午後に開かれた本会議で可決し、衆院を通過した。

 国会審議の焦点となっているデータ不備問題を、内情を知る関係者はどう受け止めているのか。

 独立行政法人「労働政策研究・研修機構」(JILPT)出身で、『あきれた公務員の貴族生活』(ベスト新書)の著書がある若林氏は「厚労省の劣化ぶりに驚いた。しかし、その体質を考えると、ずさんなデータ処理はあり得る話だ」と語った。

 若林氏によると、厚労省は統計専門官を有し、全国の労働者について、賃金や労働時間、雇用保険などのデータを集計し、公表している。JILPTにも職員を出向させているという。

 それほど統計部門に力を入れる厚労省が、なぜこれほどまで、考えられない失態を重ねるのか。

 若林氏は「霞が関官僚は『政府のシンクタンク』として、国の政策を前に進めるための基本データを用意する。それが行き過ぎると、政権に都合のいいかたちで、データを提供する事態になりかねない。『働き方改革』を看板に掲げる安倍政権の意向に沿って恣意的にデータを加工したのではないか。私の同僚も以前、明らかな『捏造(ねつぞう)』でなくても、政権側がほしいデータを提供した職員がいる」と語った。

 事実であるとすれば、統計に不可欠な正確さを無視した、「官僚の矜持」もない輩の所業ではないか。もし、恣意的にデータ加工をうながした人物がいたとすれば、許されざることだ。

 野党は、再調査と裁量労働制の対象拡大を含む働き方改革関連法案の提出断念を求めて、政府を追い込む構えだ。政府は3月後半の法案提出を目指すとも報じられるが、どう対応すべきか。

 若林氏は「厚労省の精査によって『法案審議の前提となるデータが信用できない』という結果が出れば、国民は、法案を提出する政府も信用できなくなる。信用できるデータに基づく法案審議が必要であり、現状のままで難しいのであれば、データの出し直しを検討すべきだ」と強調した。