西部邁氏が安倍首相に残していた「痛烈な遺言」

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言論界への衝撃は大きい(時事通信フォト)

 保守論客の代表で『朝まで生テレビ!』(テレビ朝日系)の常連だった西部邁氏の多摩川入水自殺は、世間に衝撃を与えた。その西部氏が、遺言を遺していたことが判明したのだ。3月1日に『保守の遺言』(平凡社新書)として刊行される。

 〈僕流の「生き方としての死に方」に同意はおろか理解もしてもらえないとわきまえつつも、このあとがきの場を借りてグッドバイそしてグッドラックといわせていただきたい〉

 あとがきの日付は1月15日。亡くなったのはそのわずか1週間後(21日)である。担当編集者が語る。

 「西部さんは初稿ゲラを入念に確認していました。言い残すことがないように、大幅に加筆されていた。最後にお目にかかった時にも『1月下旬にはそう(自殺)するつもりだ。この本は死後の出版になる』とはっきりおっしゃっていました」

 その遺作の内容として注目を集めるのが、“保守政治家”を自任する安倍首相への最期のメッセージである。

 本書には、「安倍首相よ、プラクティカリズム(実際主義)の空無を知られたし」と題し、こう書かれている。

 〈首相に限らず現代人は、指導層であれ追随層であれ、おおむね実際主義を旨として、経済的利得や政治的権力や文化的栄誉にありつくべく、我欲丸出しで生きそして虚無のうちに死んでいるといってよいであろう〉

 とりわけ、西部氏がかねて訴えてきた「対米追従からの自立」に、安倍政権が一向に踏み出さないことへの失望は大きい。

 〈世界はマルチポーラー(多極)の時代に入っている。そのことに日本政府はどこまで自覚的なのであろうか〉

 〈対米追従に徹しておればこの列島は何とか生き延びられるであろうというプラクティカリズム(実際主義)の態度が現代日本人に骨がらみにとりついてしまったことの帰結なのであろう〉

 かつて交流のあった安倍首相は、この遺言をどのように受け止めるのか。

 ※週刊ポスト2018年3月9日号