【日本の解き方】習近平氏は「皇帝」になるのか 国家主席の任期撤廃、インド洋での覇権主義も鮮明

習近平氏

 中国共産党は、3月5日に開幕する全国人民代表大会で、国家主席の任期を2期10年までと定めている憲法の規定を撤廃する方針を決めたと報道された。習近平氏が、2期目を終える2023年以降も国家主席にとどまる可能性がある。中国国内は安定するのか、それとも不安定な要因となるのか。外交や経済への影響はあるのかを考えてみたい。

 まず、中国共産党と憲法の関係を整理しておこう。憲法の前文には、「中国共産党が中国の各民族人民を指導して」という文言がある。このため、共産党は憲法を超える存在となっている。憲法第1条では、中華人民共和国について「労働者階級が指導し、労働者・農民の同盟を基礎とする人民民主主義独裁の社会主義国家」としており、労働者階級の代表としての共産党が国家を指導する形となっている。

 ちなみに、中国共産党中央軍事委員会と国家中央軍事委員会の構成員は同一である。このため、中国人民解放軍は、国の軍隊と言うより中国共産党の軍隊となっている。

 このような事情から、中国においては共産党が憲法より上位に位置している。共産党1党独裁であるので、憲法改正など自由にできるわけだ。

 中国では毛沢東が死去した後、その時代の失敗を背景として、集団指導体制に移った。1982年以降は憲法により、国家主席の任期について連続で2期を超えないとしていたが、今回の憲法改正で習氏が毛沢東の地位に就こうとする意図がハッキリした。習氏は事実上の「皇帝」に就き、無期支配をもくろんでいるともいわれている。

 今回の憲法の改正案では、習氏の指導思想についても個人名を冠した形で盛り込むとされている。在任中に最高指導者の名前が憲法に盛り込まれるのは異例であり、そのことも、「皇帝」を連想させる。

 共産党1党独裁の上に、習氏の独裁が加わる形となれば、当然、中国国内にも反発はあるだろう。しかし、この段階まできたということは、習氏が政治闘争に勝ち抜いてきたことを意味する。習「皇帝」の独裁によって、中国国内の安定性がもたらされる可能性が高いのだろう。

 中国は「海洋強国」への布石を着々と打っている。特にインド洋では、港湾の運営権を握り、いざというときに軍事転用できる体制をとっている。中国の「一帯一路」構想は、その後押しをしている。

 スリランカは中国資本を入れて、港湾整備をしてきたが、高い金利を払い切れずに、南部ハンバントタ港の運営権を中国に譲渡した。この場所は、アラビア海とインド洋の中間地点にあり、インドの目と鼻の先である戦略上の要衝地点である。

 そうした港湾の運営権の確保ととともに、中国海軍の増強も著しい。2030年までに4つの空母打撃群を運用し、米海軍への対抗意識を出している。こうしたところからも中国の覇権主義が注目される。(元内閣参事官・嘉悦大教授、高橋洋一)