【ケント・ギルバート ニッポンの新常識】「皇帝」目指す習近平氏、共産党幹部が逆らえるはずがない 「反腐敗闘争」では大量の自殺者、なかには暗殺も?

習氏は「終身独裁体制」を狙っているようだ(AP)

 中華人民共和国(PRC)の習近平政権は、国家主席の任期を2期10年までと定めた憲法規定を撤廃する方針を示した。今月の全国人民代表大会での採択が確実視されている。

 昨年秋に2期目が始まったばかりの習主席だが、3期目も、いやハッキリいえば、清朝までの「皇帝」や、PRC建国の父である毛沢東主席と同様、死ぬまで最高権力者の地位に留まりたいのだろう。

 習氏は2013年の国家主席就任後、「反腐敗闘争」の名目で、数々の政敵やライバルを逮捕したり、失脚させてきた。

 最初は、治安・司法部門を牛耳ったうえで、石油閥の巨大な利権も掌握していた周永康・元政治局常務委員を逮捕した。死刑は免れたが、無期懲役判決が下されている。

 さらに、胡錦濤前指導部の番頭を務めた令計画・元党中央弁公庁主任も、無期懲役となった。軍制服組ツートップの1人の徐才厚・元中央軍事委員会副主席は、全役職を辞職後に訴追されたが、膀胱がんで死亡した。もう1人の郭伯雄氏は無期懲役となった。

 昨年の党大会目前の7月には、自らの後継候補だった孫政才・前重慶市党委書記を汚職で失脚させ、子飼いの部下への権力移譲に道を開いた。中央政治局は孫氏の党籍剥奪にあたり「特権の利用」や「組織の秘密漏えい」「性的賄賂の受領」があったと指弾した。

 最高幹部クラスだけでなく、規律違反で処分を受けた共産党員は、5年間で153万人に上るという。そもそも、年間数十兆円規模の賄賂が飛び交うといわれる中国社会で、共産党員が汚職と無関係なまま出世競争で生き残れるはずがない。習氏を含む全員が、たたけばホコリが出る。

 この「反腐敗闘争」に付随して、副課長級以上の自殺者が2015年は1500人、16年には1700人に達し、年間1300人の公務員が自殺した文革期を上回ったという。汚職の調査を受けて自暴自棄となり、他の幹部を銃撃した後、自殺した事件も起きた。

 これは想像だが、全員が自殺だったとはかぎらない。汚職がバレないように、仲間を暗殺したケースもあっただろう。

 習政権の最初の5年間を何とか生き延びた共産党幹部が、ここで習氏の宿願に反対したら、あとでどんな目に遭わされるか分からない。この威嚇効果が「反腐敗闘争」の目的の1つだったことは疑う余地がない。

 他方、日米の野党議員や左派メディアは、安倍晋三首相や、ドナルド・トランプ米大統領に対して、いかに失礼な言動を投げつけられるかを競っているように見える。

 自由主義国家に住む左翼ほど、自由を謳歌(おうか)している存在はいない。

 ■ケント・ギルバート 米カリフォルニア州弁護士、タレント。1952年、米アイダホ州生まれ。71年に初来日。著書に『儒教に支配された中国人・韓国人の悲劇』(講談社+α新書)、『トランプ大統領が嗤う日本人の傾向と対策』(産経新聞出版)、『日本覚醒』(宝島社)など。