トランプ氏、独裁色強める習氏を牽制 ベトナムに原子力空母寄港…藤井氏「対中包囲網形成か」

習国家主席を皮肉るトランプ大統領。その一方で米空母カール・ビンソンはベトナムに入った(ロイター)

 中国の習近平国家主席が「終身独裁強化」に踏み出した。中国の国会にあたる第13期全国人民代表大会(全人代)が5日、北京で開幕し、国家主席の任期の上限を撤廃する憲法改正案が、審議・可決される見通しなのだ。ドナルド・トランプ米大統領は「彼は偉大だ」と強烈な皮肉を放ち、全人代当日に原子力空母をベトナムに寄港させる。この動きについて「米国主導の対中包囲網」が築かれつつあるとの見方も浮上している。

 20日までの全人代では、国家主席、国家副主席の任期を「連続2期10年」と定めた上限を撤廃する憲法改正案が審議される。

 習氏がトップを務める総書記、国家主席、中央軍事委員会主席のうち、明確な任期規定があるのは国家主席だけだ。憲法改正によって、2013年に国家主席に就任した習氏は23年以降の3期目も可能となり、「(党、国、軍の)三位一体の指導体制を維持」(人民日報)が完成する。

 人事面でも、習氏の独裁色は強まる。

 「68歳定年」の慣例に従い、党最高指導部メンバーを昨年退任した習氏の盟友で懐刀、王岐山・共産党前常務委員の「要職への起用」が確実視されている。王氏は反腐敗闘争を主導し、習氏の政敵を相次いで摘発した。

 だが、中国の覇権拡大を警戒する米国は、この事態を座視していない。

 トランプ氏は3日、米南部フロリダ州の高級別荘「マール・ア・ラゴ」での非公開の昼食会で、「彼(習氏)は今や終身制の国家主席だ。彼は偉大だ。いつか米国も同じことを試してみよう」と揶揄(やゆ)した。米CNNが発言の録音を入手し、報じた。

 米国は軍事的にも、警戒感を示している。

 全人代開幕の5日、米軍の最強原子力空母「カール・ビンソン」が、ベトナム中部ダナンに寄港したのだ。米空母のベトナムへの寄港は、1975年のベトナム戦争終結後初めてで、南シナ海で軍事拠点の建設を進める中国に対する牽制(けんせい)の可能性が高い。

 この動きは一体、何を意味するのか。

 国際政治学者の藤井厳喜氏は「終身独裁制の導入で、中国はさらに独裁色を強め、周辺諸国の帝国主義的な属国化を進めている。カンボジアやラオスは徐々に属国化している。南シナ海問題もあり、ベトナムが独立を失う危機がある。トランプ氏は当然、警戒感を強めている。米国は、日本やベトナムとともに『対中包囲網』を形成しようとしているのではないか」と話している。