【永田町・霞が関インサイド】「幻の米朝接触」仕掛けた張本人は? 北政策めぐるホワイトハウス暗闘

「幻の米朝接触」を仕掛けたとされるポンペオCIA長官(ロイター)

 ドナルド・トランプ米政権内で再び不穏な動きが顕在化している-。

 2月28日(米国東部標準時間)、ホワイトハウス(WH)のホープ・ヒックス広報部長の辞任が発表された。

 ヒックス氏のオフィスは、WHのウエスト・ウイング(西棟)1階の大統領執務室と廊下を挟んだ真北にあった。

 トランプ大統領に最も近いオフィスを充てられていたことからも分かるように、最側近の1人として知られた人物だ。

 それだけではない。同27日、CNNテレビなど政権に批判的な複数のメディアは、トランプ氏の娘婿、クシュナー上級顧問が米政府の最高機密情報を取り扱う資格を失った、と大々的に報じた。

 各メディアの報道を総合すると、WHの規律を重視する退役海兵隊大将のジョン・ケリー大統領首席補佐官が決めたという。

 正式な手続きを経ないで大統領に直接意見を言えるクシュナー氏と、長女のイバンカさん夫妻がWHの秩序を乱す懸念材料として、2月18日付で機密閲覧を禁じる方針を通知したというのだ。

 こうしたケリー氏の強権発動によって、米メディアは「トランプ・ファミリーvs側近の確執」「クシュナー氏の存在感低下」と書き立てた。

 実は、政権内の権力をめぐる確執は伝えられている以上に深刻である。

 それは、北朝鮮政策をめぐる意見対立なのだ。

 対北朝鮮強硬派であり武力行使もやむなしとするハーバート・マクマスター大統領補佐官(国家安全保障担当・予備役陸軍大将)と、外交交渉優先を唱えるレックス・ティラーソン国務長官、ジェームズ・マティス国防長官(退役海兵隊大将)との路線対立である。

 事をさらに複雑にしているのが、マイク・ポンペオ米中央情報局(CIA)長官の存在である。

 ワシントンの政界筋では、ポンペオ氏が、ティラーソン氏の後任国務長官に強い意欲を持っていることは周知の事実だ。

 そのポンペオ氏がどうやら、先のマイク・ペンス副大統領と、北朝鮮の金与正(キム・ヨジョン)朝鮮労働党第1副部長の「幻の米朝接触」を仕掛けた張本人であったようなのだ。

 2013年の日時は特定できないが、ジョセフ・デトラニ元CIA東アジア作戦部長が極秘訪朝した際に開拓したチャンネルを通じて北朝鮮側に要請したとされる。

 絵解きをすると、こういうことである。外交はオレでもできると、ポンペオ氏が内々にCIA主導で打診・失敗したというのだ。(ジャーナリスト・歳川隆雄)