【忘れない、立ち止まらない 東日本大震災から7年】時間がかかりすぎた宅地造成 人口流出止まらぬ自治体も

盛土して造成された「かさ上げ部」などの土地利用が深刻な課題に(東海新報社提供)

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 東日本大震災の発生から6年目となったこの1年は、特にいくつかの被災自治体にとって、「大きな変化」が見える年だったのではないかと思う。新しい市街地の誕生、高台の宅地完成などが相次ぎ、“住宅街”と呼べるものも増えてきた。計画されていた「まちの形」がようやく立体化しつつある…。そう喜ばしく感じている。

 だが、元からあった懸念が、いよいよ実際問題として立ちはだかり、もうごまかせない局面を迎えたことも事実だ。震災に起因する人口流出に、歯止めがかからないのである。

 背景にある最大の要因は、復興に要する時間の長さだろう。発災丸7年が経過する今も宅地造成が終わらないことから、別の地域に住宅再建する人がいたり、内陸部に“一時避難”した人が戻ってこられないといった事態が深刻さを増しているのだ。

 被災自治体から内陸部へ転居した「内陸避難者」に、岩手県が毎年行っているアンケートでは、「元の市町村へ戻りたい」と回答する割合が年々減っている。理由の大半を占めるのは、「まちづくりに時間がかかる」「土地が確保できない」などだ。“避難先”での生活に慣れ、通院や買い物に至便な内陸での暮らしを手放せなくなったという側面もあるだろう。

 沿岸市町村の多くは、山を切り崩して宅地をつくり、低地部に土を盛って市街地を形成する手法で復興まちづくりを行っている。

 陸前高田市の場合は本年度、国の「土地区画整理事業」を活用した「高台部」の土地造成に終わりが見え始め、年明けからは「かさ上げ部」へ換地された地権者への宅地引き渡しも開始された。

 「かさ上げ部」は震災前のまちがあった場所であり、商工業の中心たるエリア。行政としても、そこへ人が戻ってくることは、市のにぎわい回復のためにも必須と考えている。

 一方で、同事業の完了は最も遅いエリアで2021年…今後さらに3年を要する。このため、造成地の大半が「空き地」となる可能性が高まっているのだ。

 ある地区で先月に行われたかさ上げ部宅地引き渡しでは、私と地権者数人との間で「やっと土地ができましたね」「うん。でも、ここは使う予定ないから」「自宅は?」「もう別のとこに建てちゃったよ」と、同じような会話を別々に繰り返すことになった。

 どの方も決まって「時間がかかりすぎたね…」と倦怠(けんたい)感を滲ませ、最後は「誰か借りてくれないかな」と、あきらめに似た苦笑を見せる。

 結局この日、「ここで家を再建する」と答えた世帯は1つもなかった。

 ■鈴木英里(すずき・えり) 1979年、岩手県生まれ。立教大卒。東京の出版社勤務ののち、2007年、岩手県大船渡市・陸前高田市・住田町を販売エリアとする地域紙「東海新報」社に入社。現在は記者として、被害の甚大だった陸前高田市を担当する。