【昭和のことば】「地球は青かった」“英雄”が見た景色を多くの人々が共有(昭和36年)

 それは、昭和36(1961)年4月12日に打ち上げられたソビエトの有人宇宙船「ボストーク1号」が、地球を一周して帰還した後、宇宙飛行士のユーリ・ガガーリンによって発せられた。

 英雄の帰還後の言葉は、13日夕刊各紙のトップを飾った。おそれを抱かせるような地球の青さ。ガガーリンの目に映った感動の景色は、この言葉によって多くの人々の共有するところとなった。

 この年の主な事件は、「警視庁交通情報センター開設」「アメリカ駐日大使ライシャワー氏着任」「厚生省、国立がんセンター設置」「英国・マン島オートレースで、本田技研工業チームが優勝。オートバイ輸出増加への道を開く」「大阪・釜ヶ崎のドヤ街で暴動。2000人余の群衆が警官隊と衝突」「気象庁、米ソの核実験再開により各地で放射能増加と発表」「大相撲、大鵬幸喜と柏戸剛が横綱に。柏鵬時代開幕」「文部省、中学2・3年生対象に全国一斉学力テスト実施」「フランス・パリで第3回世界柔道選手権大会開催」など。

 この年の映画は『不良少年』、『ウエスト・サイド物語』。本は水上勉『雁の寺』、大佛次郎『パリ燃ゆ』、小田実『何でも見てやろう』など。そば40円、ラーメン一杯50円の時代。うたごえ喫茶や、シームレスストッキングが流行した。

 本格的な宇宙時代の到来を告げた一方で、米ソの軍事的緊張が高まっていった。当時の朝日新聞ではすでに、「『空は暗く、地球は青く見えた』という宇宙人、『空は青く、地球は暗く見える』地球人を如何せん」とつづっていた。=敬称略(中丸謙一朗)

 〈昭和36(1961)年の流行歌〉 「北上夜曲」(多摩幸子、他)「スーダラ節」(ハナ肇とクレイジーキャッツ)「上を向いて歩こう」(坂本九)