南北会談合意に識者「日米の北制裁が成果」 「核保有で南北統一シナリオも」

これまで2度行われた南北首脳会談。金正日氏(右)は2000年6月に金大中氏と面談している(AP)

 南北首脳会談を4月末に開催することで合意したと発表されたが、核放棄につながるかどうかは疑わしい。識者からは「経済制裁は続行すべきだ」「核保有で南北統一というシナリオもありうる」といった見解が聞かれた。

 評論家の八幡和郎氏は「この会談自体は前向きにとらえていい。これまで安倍晋三首相とドナルド・トランプ米大統領が、北朝鮮の核放棄に向けて経済制裁を行った一定の成果だといえる。北朝鮮は南北対話が続く限り、新たな核・ミサイル実験を行わないとも表明し、非核化の意思も示しているが、これも日米の要求に沿ったものだ」と一定の評価を示す。

 だが、制裁の解除については慎重であるべきだと主張する。

 「北朝鮮が本当に核開発を放棄するかどうか分からない中では、核放棄が目に見えて初めて制裁を解除するという姿勢が必要だ」と八幡氏。さらに「この姿勢を続けるには政治の安定が必要となる。野党は森友問題を持ち出し、安倍政権の倒閣運動をしているが、いまはそんな時ではない。朝鮮半島の安定のためにも安倍政権を退陣させてはならない」と強調した。

 ノンフィクション作家の河添恵子氏は、韓国の文在寅(ムン・ジェイン)政権が描くシナリオを推測する。

 「文政権は北との連邦制を目指して動いていくだろう。文氏は表向きは北に非核化を訴えているが、連邦制が実現すれば、北の核を手に入れ、自衛に使えるようになる。そうなれば2~3年で在韓米軍が撤退するという話にもなってくる」

 河添氏は、北朝鮮の金正恩(キム・ジョンウン)朝鮮労働党委員長が中国の習近平政権と決別する気配もあると指摘する。

 「南北閣僚級会談が開かれた今年1月9日は、北朝鮮が中国に設立した合弁企業や全額出資企業を閉鎖するデッドラインだった。正恩氏は習政権との決別や、朝鮮半島についてはわれわれが決めるという気持ちで南北会談を始めたのかもしれない」と河添氏。

 「習氏は政権内で北に近い人間を排除してきたし、北にとってはイランなど親しい国がいくつもある。金王朝にとって中国はもはや不要だ」