「ゼロ回答」火に油…森友書き換え疑惑で“麻生氏VS二階氏”再燃 秋の総裁選の主導権争いも

火花を散らす麻生氏(左)と二階氏(右)

 学校法人「森友学園」への国有地売却に絡む決裁文書「書き換え」疑惑をめぐり、麻生太郎副総理兼財務相率いる財務省の対応が火に油を注いでいる。調査状況に関する「ゼロ回答」の報告に、自民党の二階俊博幹事長が公然と不快感をあらわにしたのだ。国民の不信感が高まるなか当然の反応だが、秋の自民党総裁選を見据えた「派閥領袖同士の暗闘」という一面もありそうだ。朝鮮半島情勢が急展開するなか、早期の疑惑解明が求められる。

 「どういう理由で資料を出せないのか、ちょっと理解できない。改めて問いただしたい」

 二階氏は6日の記者会見でドスを効かせるように、こう語った。

 財務省はこれまで、「(6日までに)できる限り努力し報告する」としていた。ところが、麻生氏は同日の閣議後会見で「担当局以外の職員も関与させて、全省挙げて調査を進めていきたい」と述べるにとどめた。

 「政界寝業師」の異名を持つ二階氏としては、疑惑調査をめぐる麻生氏と財務省の姿勢に納得できなかったようだ。

 財務省の富山一成理財局次長は6日午前の参院予算委員会理事会で、疑惑が持たれている決裁文書の原本は大阪地検特捜部に提出し、「近畿財務局にはない」と説明した。文書が2つあるかどうかについては、「捜査への影響」を理由に、明確な回答を避けた。

 財務省の対応に与野党は6日、猛反発した。北朝鮮情勢に結束して対応するには、ほど遠い状況といえる。

 小泉進次郎筆頭副幹事長は、党会合で「(これまでの森友問題とは)次元が違う話だ」と語った。

 自民党関係者も「朝日新聞の報道が事実なら、政権を直撃しかねない事態にもかかわらず、党への説明が何もないことに、二階氏ら執行部はいらだっている」と話す。

 祖父に吉田茂元首相を持つ「政界プリンス」の麻生氏と、和歌山県議からたたき上げた二階氏は、年齢こそ77歳と79歳と近いが、性格も政治手法も「水と油」だ。麻生派(59人)は党内第2派閥、二階派(44人)は同第5派閥と、牽制(けんせい)しあっている。

 鳩山邦夫元総務相の死去に伴う2016年10月の衆院福岡6区補欠選挙では、後継候補をめぐって激突した。麻生氏が選対本部長まで務めた無所属候補は、邦夫氏の次男、鳩山二郎衆院議員に敗れた。鳩山氏は二階氏に支えられて選挙戦を戦い、現在は二階派に所属している。

 9月の自民党総裁選後には、内閣改造・党役員人事が行われる。

 今回の疑惑浮上で、「麻生vs二階」の対立が再燃した。自民党関係者は「派閥領袖としては当然、疑惑対応だけでなく、総裁選をめぐる主導権確保も念頭に置いているはずだ」と話している。