「森友」傲慢発言連発で麻生氏降ろしが加速 朝日の“隠しカード”見極め

与野党の怒りを集める形となった麻生財務相。政局の火種となるのか

 学校法人「森友学園」への国有地売却に関する決裁文書「書き換え」疑惑をめぐり、財務省は8日午前、参院予算委員会理事会に決裁文書「原本」の写しを提出した。与野党の攻防は第2幕に突入した。こうしたなか、麻生太郎副総理兼財務相の態度に批判が噴出している。一連の疑惑を挑発的な言動ではねつける姿勢が「傲慢」「不誠実」と映り、国民感情を逆なでしているのだ。安倍晋三内閣の重要閣僚が「政局の火種」となれば、支持率低下に直結しかねない。9月の自民党総裁選を見据えて、党幹部らがうごめき始めた。

 財務省は8日朝、参院予算委員会理事会に、注目の決裁文書「原本」の写しを提出した。これを受けて、6日から空転していた国会は動き出し、安倍首相や麻生氏らも出席して、2018年度予算案や予算関連法案を審議する参院予算委員会が開会される。

 ただ、野党各党は、財務省が前日、「原本」の写しは、それまでに国会議員に開示した文書と同じだと説明したことに、「同じようなものを持ってきても全く意味がない」(立憲民主党の福山哲郎幹事長)と反発している。徹底追及する構えだ。

 国会正常化に向けた動きの背景には、与党側の強い危機感がある。

 自民党の二階俊博、公明党の井上義久両幹事長は7日の会談で、「財務省に対し、決裁文書に関する資料の調査と、関係者への聴取をして、一両日中に結果を報告するよう求めるべきだ」との認識で一致した。二階氏は直後、安倍首相の側近である西村康稔官房副長官と会って直接要請し、資料を速やかに国会に提出することも求めた。

 安倍首相と二階氏は同日夜、都内の日本料理店で会食した。会食の日程は2月下旬に決まっていたが、決裁文書に関する疑惑をめぐって意見交換した可能性が高い。

 自民党関係者は「党の中枢幹部も、疑惑の核心を知らされていない。関係者に電話して『一体、どうなっているのか?』と問い合わせをしていた。政府側から7日夕、『有印の決裁文書は、国会議員に配布した物と一致した』と伝えられた。確認に時間がかかったのは、朝日新聞や野党各党の“隠しカード”を見極めていた可能性が指摘されているが、党内には一抹の不安が残っている」と語った。

 与党側の危機感の根底には、麻生氏と財務省へのいらだちがある。

 疑惑を報じた朝日新聞が、相変わらず「決定的な証拠」を示していないことへの疑問が指摘される一方で、麻生氏には疑惑を持たれた組織のトップとして、首をかしげるような高圧的な言動が目立つ。

 「捜査に影響を与えるか予見し難いので、答弁は差し控える」「何か言った?」「あなたに予算委員会の先にしゃべれということですか」

 国会審議で突き放すように答弁したり、ヤジに切り返したり、記者会見で書き換えの有無をただす朝日新聞記者に対し、たたみかける映像が、テレビのワイドショーやネット上で繰り返し流されている。

 国会答弁の信用性に疑いが生じている国税庁の佐川宣寿(のぶひさ)長官をかばうような対応もマイナスだ。

 麻生氏を「(愛読マンガにたとえて)ローゼン閣下」などと熱狂的に支持する人々も多いが、べらんめえ口調で疑惑に対応する姿は、高齢者などの感情悪化につながっていることは間違いない。

 政治評論家の伊藤達美氏は「麻生氏ならではの言動が『高飛車だ』と認識され、結果的に政権の足を引っ張っている。麻生氏には、疑惑解明に向けた謙虚な姿勢と、強い態度を示してほしい」と注文を付けた。

 朝鮮半島情勢の激変を受け、日本の外交・安全保障政策が問われるなか、野党は決裁文書「書き換え」疑惑で盛り上がっている。

 立憲民主党の辻元清美国対委員長は7日、党会合で、裁量労働制をめぐる厚労省のデータ不備問題を念頭に「決裁文書や答弁もフェイク(虚偽)となれば、安倍首相自身の責任問題に発展しかねない」と攻勢を強めた。

 懸念されるのは、麻生氏への個人的反発が高まり、政権基盤が動揺することだ。

 麻生氏は首相時代、リーマン・ショックへの経済対策を次々と打ち、最悪の事態を回避した実績がある。だが、一部メディアとの関係悪化から、歯にきぬ着せぬ言動や、漢字の誤読を執拗(しつよう)に取り上げられた。次第に求心力を失い、麻生内閣の支持率は15%前後まで下落し、自民党は下野した。

 一部の野党やメディアは、その再来を狙っている。

 前出の伊藤氏は「国税庁の佐川長官をかばう必要などない。国政の停滞を避けるためにも、記者会見を開いて説明させるべきだ。安倍首相と麻生氏にはリーダーシップを発揮してほしい。対応を誤れば、政権運営は厳しくなる」と語る。

 今回の疑惑拡大について、「自民党総裁選をにらみ、麻生氏を政権中枢から外したい勢力がうごめいている可能性がある。麻生氏を『キングメーカー』にしないための工作ではないか。麻生氏としては、矢面に立つことで、安倍政権全体への批判をかわす覚悟をしているようだ」(永田町関係者)という見方がある。

 疑惑はどう展開するのか。