【日本の解き方】中国が日本にすり寄る思惑… 米の強硬要求受け、日本への販路を確保、一帯一路は綻びだらけの実態

日中韓首脳会談であいさつする中国の李克強首相 =9日(代表撮影)

 中国の李克強首相が来日し、今後は安倍晋三首相の訪中や、習近平国家主席の訪日も検討されるようだ。ここにきて日中が急接近しているようにみえるのは、どのような背景があるのだろうか。

 日中韓首脳会談は2015年にソウルで開かれて以来、約2年半ぶりで、李氏、文氏の来日は就任後、初めてだった。李氏は、中国の実質ナンバー2だが、中国から頼みごとをする役割には適切なのだろう。

 中国はいま、米国と貿易交渉で難渋し、貿易戦争の一歩手前である。

 米国は中国に対して強烈な申し立てをしている。その内容は、これまでの国際貿易交渉では例のない「一方的」なもので、二国間交渉ならではのものだ。まず、18年下半期の中国の対米貿易黒字を1000億ドル(約10兆9400億円)削減し、19年上半期にはさらに1000億ドル削減するとしている。

 その上に「市場をゆがめる補助金」を即時廃止すること、知的財産権の保護のために中国資本と外国資本の合弁事業において技術移転を求める慣行を撤廃することを求めている。

 これだけでも中国にとって受け入れ不能であるが、さらに、米国の対中要求は続く。サイバー攻撃や経済スパイ行為などで米国の技術や知的財産を盗まないようにすること、米国の制裁に対する中国の報復措置を取り下げること、中国から米国への投資を制限することについて国際機関への提訴なども行わないこと、20年7月までに中国に対して米国と全く同じ関税を設けることなどを要求している。

 こうした中国への米国の要求は、これまで米国が基本としていた非差別主義、多国間協調主義という市場ルールとはまったく異なっている。トランプ大統領は、二国間交渉だから、これまでの多国間ルールとは違うというのだろう。

 この米国の要求を中国が受け入れる可能性はまずない。そうなれば中国のメンツ丸つぶれだからだ。突き放してそのまま米中の報復措置の打ち合いとなれば、米国への輸出が大きい中国の方が打撃を受ける。しかし、それでも、中国の経済成長率の低下は1%にも達しない程度なので中国にとっては誤差の範囲内だろう。

 中国としては、経済への打撃は小さいと思われるものの、日本への経済販路を確保しておいた方が望ましい。だからこそ日中経済の関係改善に出てくるわけだ。なお、その場合、日本は米中貿易戦争で漁夫の利を得る可能性もある。

 ただし、中国の経済・政治覇権である「一帯一路」には要注意だ。現に、ここかしこに綻(ほころ)びが出ている。日本としては表向き友好ムードに見せるが、警戒感は解かないという手探り状態である。拒否はせずに歓迎ムードだが、実質的な内容は乏しく、時間稼ぎをしたに過ぎない。

 先の日中での合意についても、そうした両国の思惑の結果である。(元内閣参事官・嘉悦大教授、高橋洋一)