韓国、半導体事業“壊滅”か サムスンが2年ぶりの大幅減益も…日韓関係最悪で文大統領に打つ手なし!?

国内の経済危機に頭を悩ます文大統領(写真)に、サムスンの失速が追い打ちをかける(AP)

 さらなる暗転の始まりか-。韓国最大の企業「サムスン電子」が約2年ぶりとなる大幅減益を記録した。利益の大半を稼いできた半導体事業が、米中貿易戦争のあおりで急激に悪化したのだ。経済失政で雇用を低迷させている文在寅(ムン・ジェイン)政権だが、いわゆる「元徴用工」をめぐる異常判決や、海上自衛隊の哨戒機へのレーダー照射問題などで、日本との関係も最悪だ。自民党の外交部会・外交調査会が11日に開いた緊急合同会議では、韓国の半導体製造に打撃を与える「フッ化水素輸出禁止」まで提案された。孤立無援の中で、韓国経済の支えが失われかねない惨状だ。

 サムスンの昨年10~12月期の業績は、営業利益が前年同期比約28・7%減の10兆8000億ウォン(約1兆500億円)と、四半期ベースで過去最高を記録した7~9月期から一転、大幅減益となった。売上高も同10・6%減の59兆ウォンだった。

 四半期ベースの実績が前年度を下回ったのは、スマートフォン「ギャラクシーノート7」の発火事故が続発した2016年7~9月期以来のことだ。

 業績悪化の要因は、半導体の需要低迷による価格下落やスマホの販売台数の減少、ディスプレー事業の不振だった。

 とりわけ深刻なのがサムスンの営業利益の約3分の2を稼ぐ半導体事業だ。半導体関連製品は韓国の輸出全体の約21%を占めている。つまり半導体がコケるとサムスン、そして韓国経済全体が大打撃を受けてしまう構図だといえる。サムスンそして半導体の失速を受けて、韓国国内にも懸念が広がっている。

 9日付の朝鮮日報(日本語版)は社説で、「韓国はサムスン電子の好調による錯覚に酔い、経済の実情を直視できなかった」と語調を強める。中央日報(同)も「半導体に代わる品目が見えない。国の未来を担保する輸出主力商品がなくなる状況だ」と嘆いている。

 米中貿易戦争も韓国経済に影を落としている。中国で愛国心を強調するために自国製のスマホを買う動きが強まっており、米アップルのiPhone(アイフォーン)の販売が伸び悩んでいる。サムスンはスマホメーカーとしてアップルのライバルでもある一方、電子部品を供給するお得意さまでもあることから皮肉にも業績悪化につながった。

 長年の韓国ウォッチャーとして知られる元日本経済新聞編集委員の鈴置高史(すずおき・たかぶみ)氏は「半導体とスマホに次ぐ柱が育たないと、『韓国経済の衰退』というイメージが世界に広がり、中長期的な資本流出の原因となるだろう」とみる。

 ただでさえ、青年層の失業率が約10%にのぼるなど韓国の雇用環境が厳しい。前出の鈴置氏は「サムスンは業績の陰りで本格的な人員削減に動くと考えられ、雇用の面で韓国経済に悪影響を与えるだろう。ただ、これに対し文政権は強い圧力をかけるのではないか」とみる。

 サムスンはスネに傷を持つ身だ。創業家の李在鎔(イ・ジェヨン)サムスン電子副会長(50)は、朴槿恵(パク・クネ)前大統領の友人が実質支配する財団に資金を拠出したとして贈賄罪に問われ、1審で実刑、2審で執行猶予付き有罪判決を受けた。

 その背景には在鎔氏による財閥の事業継承があった。創業家のファミリー企業である第一毛織が、サムスン電子の大株主であるサムスン物産との合併比率を有利にするために、傘下企業の価値を大幅に高く見積もったとして粉飾会計が当局に認定されている。

 韓国ではサムスンのみならず、LG電子も昨年10~12月期の営業利益は79・5%減と大幅減益に見舞われた。財閥系製造企業による輸出に頼っている韓国経済にとって深刻な事態だ。

 本来なら打つ手がないわけではない。米中の貿易戦争の影響を少なくする策の一つは多国間の貿易協定だ。韓国も、日本など11カ国が参加する環太平洋戦略的経済連携協定(TPP)への参加に色気を見せているが、いわゆる元徴用工訴訟などで平気で約束を破る国が相手にされるのか、疑問が残る。

 資本の海外流出に脆弱との指摘がある韓国にとって、主要国と通貨交換(スワップ)協定を結ぶのが有効だが、米国との間に協定はなく、日本側も韓国と再開する理由はない。

 こうした状況にもかかわらず、文大統領は10日の年頭記者会見でも、日本に責任を押しつけるような発言に終始した。経済が自沈しても文政権の自業自得か。