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米中摩擦で習近平氏ジレンマ 譲歩なら求心力低下、強硬なら成長減速

 中国の習近平指導部は9日、トランプ米政権に突きつけられた追加関税率引き上げへの有効な対応策を打ち出せないまま、劉鶴副首相らをワシントンに派遣した。「強国路線」を掲げてきた習氏にとって、米側への大幅な譲歩は国内の求心力を失いかねないが、強硬姿勢を貫いて貿易摩擦がエスカレートすれば、経済成長の減速に拍車がかかるというジレンマに陥っている。

 「こんな状態で中国代表団は米国に何をしにいくのか。多くの人はそう思うだろう」。中国紙、環球時報は9日付の社説で米中双方が依然として合意を望んでいると強調しつつ、そう認めた。両国は休戦段階から「戦いながら交渉」する状態に入る準備を進めているとし、早期の状況好転に悲観的な見方を示した。

 中国は今年10月に建国70周年の大規模な式典を控えており、対米摩擦の長期化は祝賀ムードに水を差しかねない。共産党の指導部や長老らが集まる8月の「北戴河会議」では、習指導部の責任を問う声が上がる可能性もある。

 共産党筋は、貿易協議の暗転は「習指導部の内政にとっても大きな圧力になる」と指摘。ワシントンでの9日からの協議は2日間と短く、「(妥結に向けた)詳細な交渉は難しいだろう」と語った。

 中国商務省は8日深夜、米国が追加関税率引き上げを実施した場合は「必要な報復措置を取らざるを得ない」とする声明を発表。同省の高峰報道官は9日の記者会見で「米国が一方的な措置ではなく対話で問題を解決することを望む」と訴えつつ、「中国は自らの合法的な権益を守る決意と能力がある」と牽制(けんせい)した。

 共産党機関紙、人民日報は7日、電子版で「われわれが譲歩すると思うな」との対米警告を掲載した。(産経新聞)