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古文書が知らせるナゾの大地震…原発「攻防戦」の最前線に (2/2ページ)

 最近、関西電力は「琵琶湖岸の長浜に津波が来た」という別の古文書を探し出したと言い始めた。つまり、フロイスの「若狭に大津波」というのは間違いだろうというのである。

 だが、そもそも琵琶湖には大津波というほどの津波は来ない。また、この古文書はかなり怪しいものだ。古文書は伝聞が多く、あてにならないものも多い。500年近くも前の当時は戦国時代の末期で、まだ豊臣秀吉が東日本を支配する前だった。

 天正地震は日本史上、もっともナゾが多い巨大な地震である。被害は、現在の福井県、石川県、愛知県、岐阜県、富山県、滋賀県、京都府、奈良県、三重県に広く及んだ。それだけではなく、津波が日本海岸の若狭湾と太平洋岸の三河湾の双方を襲って多くの溺死者を出したという記録がある。本州の両岸を襲ったというのは異例だ。

 また、はるか離れた宮城県南三陸町にも「畿内、東海、東山、北陸大地震の後に津波来襲」という記録がある。

 あまりに大きな被害。それゆえ、1つの地震ではなくて複数の地震が相前後して起きたのではないかという疑いもある。

 戦国時代に起きた大地震。それが現代の原発の「攻防戦」の最前線になっているのである。

 ■島村英紀(しまむら・ひでき) 武蔵野学院大学特任教授。1941年、東京都出身。東大理学部卒、東大大学院修了。北海道大教授、北大地震火山研究観測センター長、国立極地研究所所長などを歴任。著書多数。最新刊に『完全解説 日本の火山噴火』(秀和システム)。

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