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【富坂聰 真・人民日報】汚職事件の人間関係で分かる中国で派閥政治がない理由 政治局委員クラスにもなれば一国一城の主 (2/2ページ)

 政治局委員クラスにもなれば、みな一国一城の主であり、それぞれが大きな一族を抱えているのである。

 また、中国で出世する人物であれば、副部長クラスから、行動が制限を受け不自由になることを覚悟せざるを得ないのだが、政治局委員にまでなれば党中央弁公庁から派遣されるSPが常時つくことにもなる。

 このSPはもちろん政治局委員を守護することを目的としているが、一方では各政治局委員が不穏な動きをしないか、行動の逐一を弁公庁に報告する義務も負っているのだ。

 それでなくとも最高意思決定機関に属する政治局委員のスケジュールであれば、中央弁公庁は常に把握し、緊急時には招集をかけなければならないのだから、ガラス張りである。

 そしてライバルのスケジュールとSPが上げてきた情報、また国家安全部をはじめ多くの情報機関がもたらした情報にアクセスできるのは、総書記と中弁主任だけなのである。

 そんな状況下で、いったいどうやって別の政治勢力を育てていけるのだろうか。

 ■富坂聰(とみさか・さとし) 拓殖大学海外事情研究所教授。1964年生まれ。北京大学中文系に留学したのち、週刊誌記者などを経てジャーナリストとして活動。中国の政・官・財界に豊富な人脈を持つ。『中国人民解放軍の内幕』(文春新書)など著書多数。近著に『中国は腹の底で日本をどう思っているのか』(PHP新書)。

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