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【警戒せよ!生死を分ける地震の基礎知識】堆積物が示唆する「次の大地震」 宝永地震なみの大きさになる可能性も (2/2ページ)

 もし大きな津波があれば、海際にある湖沼の底に津波が運んできた海の砂が堆積する。海の底では波で消えてしまう堆積物が、湖沼の底では残る。約30の湖沼のうち、もっともはっきりした結果が出たのがこの龍神池だった。

 見つかったいちばん上の海砂の層は1707年の宝永地震、2つ目は1361年の正平地震、3つ目は684年の天武地震の津波の痕跡だった。

 過去約10回の南海トラフ地震の先祖のうち、砂層は3つしか見つからなかった。それゆえ、九州で、とくに大きな津波を起こした先祖はこの3回しかなかったことが分かった。

 東日本大震災なみの大地震だったと思われている宝永地震は南海トラフの先祖のひとつだが、震源は高知の沖よりさらに西側にも広がっていた。つまり日向灘に起きた地震が連動して超巨大地震になったことが分かった。日向灘は九州の東方、四国との間に広がっている海だ。

 この池の掘削で分かった3枚の砂の層の時間間隔は677年と346年だ。もちろん、地震の間隔にはばらつきがある。だが、今年は、すでに宝永地震から310年たってしまっている。

 しかも、いちばん近年の先祖である東南海地震(1944年)と2年後にその西方で起きた南海地震(1946年)は、両方合わせても、歴代の先祖よりも小さかった。地震を起こすエネルギーが残っているのだ。それゆえ次の大地震、南海トラフ地震は宝永地震なみの大きさになる可能性がある。

 その巨大地震がいつ襲ってきても不思議ではない時期になっているのかもしれない。

 ■島村英紀(しまむら・ひでき) 武蔵野学院大学特任教授。1941年、東京都出身。東大理学部卒、東大大学院修了。北海道大教授、北大地震火山研究観測センター長、国立極地研究所所長などを歴任。著書多数。最新刊に『完全解説 日本の火山噴火』(秀和システム)。

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