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【警戒せよ!生死を分ける地震の基礎知識】巨大地震の可能性? 十勝沖の不気味な「b値」の動き 低い状態続く (2/2ページ)

 前震を前震として見分けることが出来れば、これからもっと大きな本震が来るということが分かるはずだ。このために、前震の「b値」が一般の地震とは違うのではないかという研究が行われてきた。b値とは、あるグループの中の大きな地震と小さな地震の割合だ。いくつもの前震が起きてくれれば、b値が計算できる。

 M9・3のスマトラ島沖地震やM9・0の東日本大震災など大地震の発生に先だって数年以上前からb値が低下した、つまり小さい地震が相対的に少なくなったとの報告がある。いずれの例でも、b値は本震のあとは正常に戻った。

 だが、この研究を実用化するためには大きな問題が残っている。前震があった地震がそもそも少ないうえ、前震群の地震の数が少なすぎて、統計学的に十分な信頼性が得られないことだ。もちろん陸羽地震のときには、地震の観測能力が低くて分からなかった。

 他方、気になることがある。03年の十勝沖地震だけは、本震と考えられたM8・0の地震以降もb値が低いままの状態が続いているのだ。この地震は北海道の太平洋岸沖に起きた。

 これが何を意味するものかは分からない。もしかしたら、今後、ここに巨大地震が発生する可能性があることを示唆しているのかもしれない。

 ■島村英紀(しまむら・ひでき) 武蔵野学院大学特任教授。1941年、東京都出身。東大理学部卒、東大大学院修了。北海道大教授、北大地震火山研究観測センター長、国立極地研究所所長などを歴任。著書多数。最新刊に『完全解説 日本の火山噴火』(秀和システム)。

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