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金正恩氏「平昌五輪に参加も」表明は巧妙にしかけられたワナである (2/3ページ)

 こうした文言だけを素直に読めば、朝鮮半島情勢の緊張も近いようにも思える。金正恩氏は「新年の辞」の中で、核兵器を量産すると述べており、米国に挑戦する姿勢も捨てていない。ただ、彼が本気で韓国との関係改善に動くなら、少なくとも新たな核実験やミサイル発射はしないはずで、そうすれば米朝間の危うい空気も峠を越えるはずだ--このように考えることができるからだ。

 しかしハッキリ言って、これは韓国に対して仕掛けられた罠である。

 金正恩氏は「新年の辞」の中で、文政権のことを次のように評している。

 「南朝鮮(韓国)で、憤激した各界各層の人民たちの大衆的抗争により、ファッショ統治と同族対決に執着する保守『政権』(朴槿恵政権)が倒れ、執権勢力が替わりましたが、北南関係で変わったものは何もありません。かえって南朝鮮当局は、全民族の統一志向に逆行して米国の対朝鮮敵視政策に追従することで、情勢を険悪な状況に追いやり、北南間の不信と対決をいっそう激化させ、北南関係は解きがたい閉塞局面に陥ることになりました」

 つまり、米国の対北制裁に同調する文政権は、北朝鮮との対決姿勢を鮮明にしていた前政権と同類だと言っているのだ。

 そして、南北関係改善のために必要だとして、次のような条件を挙げている。

 「外国勢力とのすべての核戦争演習を止めるべきであり、米国の核装備と侵略兵器を引き込む一切の行為を撤回しなければなりません」

 米韓合同軍事演習を中止し、米軍が韓国に配備した高硬度迎撃システム(THAAD)を撤収させよという意味である。

 これは、相当にハードルの高い要求である。米国との同盟関係を維持しながらこの要求を飲むのは、不可能に近いほど難しい。しかも、平昌五輪まではもうほとんど時間がない。北朝鮮が、具体的にどのような形で条件を突きつけるかはわからない。もしかしたら、韓国への「サービス」として平昌五輪に参加しつつ、その後に期限を設けて上記の条件履行を迫るかもしれない。

デイリーNKジャパン
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