記事詳細

事件や事故の実名と写真報道 ネット普及で議論に (3/3ページ)

 「一度報じると、ネットのまとめサイトなどに画像や映像が転載されます。我々が匿名報道に切り替えても、それらは消えることなく永遠に残り続ける。では我々が報じなければ良いのかといえば、そうとも言い切れない」(大手紙社会部記者)

 性犯罪被害者だから、風俗関係者だから、といって身元を報じない、というのは一見「配慮ある報道」に見えるが、その配慮が、事件の悪質性を矮小化させ、世間から関心が寄せられなくなる事態を呼び込む。被害者だという事実だけでなく、事件そのものを風化させてしまうのだ。

 かつて、悪質なドライバーが引き起こした事故に巻き込まれ肉親を失ったという女性は、マスコミに自ら両親の写真を提供した。女性は”被害者の親族”の思いを吐露する。

 「私の場合は、こんな事故があったのかと世間に強く意識してもらうために、両親の写真をマスコミに提供しました。ネットで検索しても出てくるし、今でも行為は間違ったと思っていません。ただ、写真を出さないでほしい、そっとしてほしいという被害者関係者の方が多いでしょう。一番大事なのは遺族や関係者の気持ちを汲み取ること、理解することだと思います。被害者が出たから、画一的に報道しよう、というのは違うと思います」

 ネットの登場により変わりつつあるマスコミの、そして情報発信のあり方。2017年は「マスコミがいよいよ信じられなくなった年」などと揶揄されているが、筆者にはそう見えない。既存マスコミとネットの摩擦から生じた、このような議論が噴出したことは、意義深いことではないかと率直に思えたのだ。

NEWSポストセブン
zakzakの最新情報をSNSで受け取ろう

関連ニュース