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【編集局から】「死なねばならぬ場面」 西部邁さん、思想に留まらない実践での体現

 21日に西部邁さんが亡くなりました。私は23歳の新人ですが、高校時代から西部さんの著作を読み始め、大学時代にヨーロッパの哲学のゼミに入ったのも1年次に『思想の英雄たち』という著作を読んだことがきっかけでした。特に「人間の不完全性」「実践知」などの考えも感銘を受けました。

 もともと政治哲学の研究者志望でしたが、哲学は机上の勉強にすぎず、実際に現場で物事を見る必要性を感じたのも事実でした。思えば職業に記者を選んだのもそういう背景があると振り返っています。

 2009年11月にTOKYO MXで放送された「西部邁ゼミナール」で三島由紀夫を取り上げた際、西部さんは「自死」に触れ、「生きることを第一の価値にすると、何でも許されることになる」「大事なものを守るためにいざとなったら自分で死なねばならぬ場面がある」と言及していました。

 何が正しいか自分は分かりません。今回の死を奇異や嘲笑の目で見る人もいると思いますが、そういう既存の価値観への対決を思想に留めず、実践で体現したようにも思います。

 浅薄な理解しかできませんが、理屈でなく、実践が重要だということを学んだのが第一です。(海野慎介)

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