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制裁下でも北の建設業が好調なワケ (2/2ページ)

 ちなみに、咸鏡北道(ハムギョンブクト)茂山(ムサン)の住宅価格についての論文を書いた慶尚大学のチョン・ウニ教授によると、北朝鮮の住宅価格は、家そのものの質に加えて、市場、公共施設へのアクセスや物資運搬が容易か、上下水道が完備しているか、断水の際に使える井戸水は出るかなどの条件により左右される。

 また、地域を管轄する人民班長(町内会長)、保安員(警察官)、保衛員(秘密警察)の性格や、彼らとの関係性も、家選びの重要な目安となる。いくら忠誠心の塊のような人でも、彼らとの関係が悪ければまともに生きていくことができないのが北朝鮮社会だからだ。

 マンションの建設が進み鉄骨工事が終わったら、投資者から手付金の2倍の額を受け取る。つまり、このマンションの5~7階の部屋の価格は9万ドルというわけだ。完成後のインテリア、電気配線などは投資者が行う。

 なお、最上階の12階の部屋は売りに出されていない。完成後に収益の10%を国に納めるのが条件だが、現金でやり取りすることが法に触れるため物納の形を取っている。「12階はあまり人気のないフロアなので、建設業者は国にくれてやっても損はしないと計算したのだろう」(情報筋)ということのようだ。

 韓国の国家安保戦略研究院のイ・ジュンヒョク研究員の推算によると、トンジュの数は50万人。全人口の2%にあたる。彼らは莫大な額の財産を持っているが、国内で投資しようにもめぼしいものはなく、海外に投資するのは難しい。そこで彼らが目をつけたのは国内の不動産だったというわけだ。当局は、手持ちのカネがなくてもトンジュからの投資でマンション建設を行えば、成果として示せる。

 マンションの建設費はいくらくらいになるのだろうか。

 2015年10月21日の労働新聞は、未来科学者通りのタワーマンション団地の総工費は99億5940万北朝鮮ウォン(約1億4900万円)と報じた。しかし、ある脱北者は「無駄遣い」との批判を避けるために「逆水増し」されている可能性を指摘し、実際はこの10倍以上かかっているものと見ている。

 15億円だとしても極めて安い金額だが、それは人件費がほとんどかからないからだ。

 建設工事にあたるのは、朝鮮人民軍(北朝鮮軍)の兵士か、突撃隊と呼ばれる建設支援部隊だ。給料はほとんどもらえず、与えられる食事も極めて貧弱だ。

 そのため、民家に押し入って盗みを働いたり、資材を横流ししたりして近隣住民とトラブルを起こす事例が後を絶たないようだ。

 (参考記事:盗む!暴れる!鉄道工事「6.18突撃隊」がまるでチンピラ

デイリーNKジャパン
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