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【旬 People】孤高の彫刻家、濱崎茂に遺書で作品託された大西修さん「私の役目です」 (1/2ページ)

★孤高の彫刻家・濱崎茂の作品集を出版・大西修さん(64)

 このほど、『濱崎茂遺作品集』(さきたま出版会 2000円+税)を出版した。作品は人であれ動物であれ一部を除き「岸辺譚」という共通タイトルで貫かれている。

 濱崎茂は3年半前、享年64で鬼籍に入った孤高の彫刻家だ。東京藝大では舟越保武、千野茂両教授に師事、同大大学院美術研究科彫刻専攻修了後は千野教室に在籍。若いころは酒とヨットと水泳を愛する明るい一面ものぞかせる青年だった。が、次第に世に出るのを拒むかのように埼玉県加須市の共同アトリエにこもりきりとなっていく。

 「彼と知り合ったのはそのころ。30年前です。私には一貫して渡海船(仏教の修行の一種)に乗り込んだ修行僧のように見えた」と大西さん。

 現役時代は埼玉県警の警察官。パトカーでパトロール中、アトリエ前の駐車場で仲間数人とミニ四駆に興じる濱崎氏と出会った。美術品の収集が趣味だった大西さんは週に2、3度、氏のアトリエに通い、酒や食事をともにする。時には氏の借金の返済を手伝ったり、仕事を仲介する役目を担ったり。しかし、「俺の顔を彫って」とはどうしても言い出せなかった。

 「濱崎さんはこの世の営みには無関心で、材料費がなくなれば一時は自死さえ考え、あの世へと通じるまさに岸辺を見ていた人だった。些末なことは言い出せなかったですよ」と懐かしむ。

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