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【大前研一 大前研一のニュース時評】“地雷心理”働いた? 日銀総裁続投、とぼけた政策続けられるのは「黒田さんしかいない」 (2/2ページ)

 日本は極端な低欲望社会だが、先進国もおしなべて低欲望社会を迎えつつある。米国もターゲットレート2%と言いながら、なかなか達成できない。物価の伸び悩みは先進国に共通の現象で、金融政策頼みの物価上昇は容易ではない。

 私が学長を務める「ビジネス・ブレークスルー大学」の大学院生から次のような指摘があった。

 「高齢化した官僚ら為政者は、日本国債の暴落、財政破綻が自分たちの在任期間には起こらないとタカをくくっていて、危機回避への緊張感がない。金融政策決定会合も、現状の追認と継続で固定化されている。ならば、40年後も生きていると思われる45歳以下の世代から日銀総裁、副総裁を選出すべきだと思う」

 言わんとすることはわからないでもない。しかし、現在は「裸の王様」のような状況だ。そんなときに、誰かが「王様は洋服を着ていない」と言ってしまうと、その瞬間に崩壊が起こる可能性が高い。

 つまり、矛盾に満ちた戦略をしているところに、まじめな人が金融緩和の縮小などの政策方針の転換をはかると、金融市場の動揺を招き、長期金利の高騰やガラ(大暴落)を引き起こす恐れがある。国債は暴落し、日本はハイパーインフレに足を踏み入れることになる。そんなトランプのババは誰も引きたくない。

 だから、とぼけた政策を真顔で続けられるのは「黒田さんしかいない」ということになる。私は黒田総裁のやっていることは正しいとは思わないが、ここまでくると誰も手を出したくない、という心理が働くのだろう。

 ■ビジネス・ブレークスルー(スカパー!557チャンネル)の番組「大前研一ライブ」から抜粋。

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