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【ぴいぷる】“電波戦”で挑む拉致解決 対北ラジオ『しおかぜ』放送制作者・村尾建兒氏 北の妨害電波に「やる気が出てきた」 (2/3ページ)

 機材も不足していた。収録スタジオもなく、最初は事務所の一角で録音をしていた。日中だと来訪者が来るたび中断を余儀なくされ、しばらくの間、収録は夜に行った。

 試行錯誤で放送を続けていた06年4月末、しおかぜの放送を耳障りな音が邪魔し始めた。北朝鮮による妨害電波だった。拉致の可能性を排除できない特定失踪者の氏名読み上げでスタートした番組は春から、北朝鮮の独裁体制を批判するようなニュースを伝えていた。

 受信には迷惑このうえない妨害電波だが、その存在は、北朝鮮がしおかぜを問題視していることを意味していた。

 「しばらく妨害電波がなかったので不安を感じていたけど、これだけ妨害してくるのは、『嫌なんだ』と分かって俄然(がぜん)やる気が出てきた」

 対策のため、複数の周波数を確保。その後も番組内容の充実、放送時間の拡大に取り組み、16年からは中波での放送も始めた。北朝鮮では中波受信機が多いとの情報があったからだ。

 ネックは資金面だった。1日2時間半の短波に月約110万円、1日1時間の中波に月約200万円の費用がかかる。政府公報の委託放送を行っていくらかをカバーできても、賄いきれなかった。中波放送は休止し、再開に至っていない。

 自身も不安定な立場にいる。サラリーマン時代に比べ、月収はほぼ半減した。「2~3年やれば解決するかもしれない」と加わってから14年。自分にしかできないことをやっているという自負心、さらに被害者家族らの真情に触れて「ここまで関わったら、もうやめられない」という思いはあるが、自身のこの先の人生設計は正直立っていない。

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