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【忘れない、立ち止まらない 東日本大震災から7年】時間がかかりすぎた宅地造成 人口流出止まらぬ自治体も (2/2ページ)

 陸前高田市の場合は本年度、国の「土地区画整理事業」を活用した「高台部」の土地造成に終わりが見え始め、年明けからは「かさ上げ部」へ換地された地権者への宅地引き渡しも開始された。

 「かさ上げ部」は震災前のまちがあった場所であり、商工業の中心たるエリア。行政としても、そこへ人が戻ってくることは、市のにぎわい回復のためにも必須と考えている。

 一方で、同事業の完了は最も遅いエリアで2021年…今後さらに3年を要する。このため、造成地の大半が「空き地」となる可能性が高まっているのだ。

 ある地区で先月に行われたかさ上げ部宅地引き渡しでは、私と地権者数人との間で「やっと土地ができましたね」「うん。でも、ここは使う予定ないから」「自宅は?」「もう別のとこに建てちゃったよ」と、同じような会話を別々に繰り返すことになった。

 どの方も決まって「時間がかかりすぎたね…」と倦怠(けんたい)感を滲ませ、最後は「誰か借りてくれないかな」と、あきらめに似た苦笑を見せる。

 結局この日、「ここで家を再建する」と答えた世帯は1つもなかった。

 ■鈴木英里(すずき・えり) 1979年、岩手県生まれ。立教大卒。東京の出版社勤務ののち、2007年、岩手県大船渡市・陸前高田市・住田町を販売エリアとする地域紙「東海新報」社に入社。現在は記者として、被害の甚大だった陸前高田市を担当する。